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ありふれた教室の708のネタバレレビュー・内容・結末

ありふれた教室(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

学校というワンシチュエーションで展開するサスペンス。ただでさえ学校は閉塞感のある場所なのに、どんどん息苦しくなっていくような展開。トーンはホラーに近い。地味ながらも胸に迫る作品でした。

学校って社会の縮図なんだなぁとつくづく改めて思いました。

誰かが正しさを主張して正義を振りかざしたとしても、腐敗した政府や捏造するマスコミのせいでどんどん事実が捻じ曲げられて、関係のない人たちまでもが煽って、どんどん問題の論点がずれながらおかしな方向へ行ってしまうという理不尽さ。この学校での一件も、まったくそのまんまです。グレイな物事を白なのか黒なのかを暴こうとする正直者が馬鹿を見るというのがありがちだよなぁと。この学校が採用している不寛容方式(ゼロ・トレランス)という教育方針が、果たしていいものなのかという疑問も自分の中で生じました。

転任してきたノヴァック先生はあくまでも正しいことをしようとしたものの、彼女のやることがすべて裏目に出てしまい、負のスパイラルがどんどん大きくなっていくのですが、「ありふれた教室」という邦題も皮肉にしか思えず。教師って同僚との関わりや、校長などの上の立場の人との関わり、教師以外の職員との関わり、生徒との関わり、保護者との関わりといういう感じで、温度感やトーンがそれぞれ違う人に合わせた接し方があるから本当に大変だと思うんです。

ラストでオスカーくんが神輿のように警察官たちに運び出されるものの、事実上の勝利宣言をした後だったからこそ、まるでどこかの国の王様のように見えました。これは名シーンだと思います。「金八先生」で中島みゆき「世情」が流れる中、加藤優が逮捕されて連行されていくシーンを思い出しました。

っていうか、こんな教室がありふれていたら嫌だな。
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