このレビューはネタバレを含みます
【自閉症の僕が自立するまで】
言葉にすればこの一文で終わる話だが、現実はそうならない。ケースさん、この家族、この地域、この国などどの角度からも問題提起出来る題材を扱いながらこのプロジェクトではケースさん個人の話に終始する。彼は自覚している。自分のこと、家族のこと、福祉のことなどを。私などよりも遥かに直感的に時には理性的に自覚している。そしてこのプロジェクトは彼に出来る限り寄り添っている。
自閉症や発達障害など、近年ようやく認知されはじめてきた症状。その検査によって助かる人もいれば絶望するひともいるかもしれない。私も検査をすれば何かにひっかかると思う。この映画を観れば彼は繊細ながらも理知的でアーティストであり、とてもチャーミングである。周りもそれを理解し寄り添っている。ただし時は進む。そして彼は決意をする。自立すると。この映画を観て私は彼よりも本当に自立しているのだろうか?人と人を比べても詮ないことではあるが、考えさせられる。私は1人で生きていく能力をおそらく著しく欠いていることは自覚している。パートナーや子どもたち、家族に支えてもらえてはじめて生活が出来ている気がする。この映画を通じて社会問題はもちろん、個人のこうした問題にもっとスポットライトが当たってもいいような気がします。とりとめのない文章になって申し訳ないです。