何か見ていて不思議なこそばゆさがある、心地よい映画だった。あずき輸入量激減とあずきアイスの危機という映画の前提が観客に告げられるのが、登場人物のセリフでもテレビのニュースでもなく、噺家によるあずきをネタにした落語であるのがまず興味深く、この冒頭がすでに映画を可愛らしいものにしている。ナアナアになってしまったカップルがついに別離を決断するための時間（別れる決心…）というリアルな状況とテーマではあるが、(いい意味で)どことなく座りの悪いセリフと、唐突に登場する焚き火の集まりなど浮遊感のあるシーンがファンタジックな味わいを加えている。
