たくみ

青春18×2 君へと続く道のたくみのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.2
【LoveLetter】
GW最終日にやっと行けました。
実家に帰ると映画館が遠くなるのでフラッと行けなくなるので困る。

個人的に全幅の信頼を寄せてる藤井道人監督作品です。
予告を見て予想していた感じとはかなり違いましたがとても良い作品でした。
藤井監督作品結構泣いちゃってるので琴線に触れる何かがあるんだと思います。

以下ネタバレ全開ですのでお気を付けください。

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まさか『余命10年』と方向性が同じとは思いませんでした。
てっきり、再開はするけど今はお互いの人生あるからこの恋は終わりだね的な、『PAST LIVES』的なのを想像していました。

ロードムービーとしてはかなりベタな描き方だったかと思います。
だけどそれを日本と台湾の風景を織り交ぜながら巡るので今までにない映画体験になっている。
前半はどストレートな恋愛映画の始まり方をしていて気になる点もなく観れました。
なんといっても清原果耶の圧倒的ヒロイン感。
嫌なやつにならないギリギリのあざとさがあって、それに翻弄されるジミーのピュアの心模様が観ていて心地よかったです。

中盤くらいから所々引っかかるポイントが出てきました。
アミに逢いに行く旅にも関わらず常にテンションが低いジミーや、回想シーンでアミがジミーを遠ざけるがその理由が腑に落ちなかったり。
それこそが『余命10年』的展開なのですが、それが発覚するアミの実家のシーンは苦しかったです。
アミのお母さんから挨拶してあげてと言われた時のカットがかなり印象に残りました。
ジミー越しに隣の部屋である仏間の花だけを映していたかと思います。
日本人は直感的に死んだのだとわかると思います。
けど、海外の人だと映された部屋が何なのかはピンとこない気がして、理由はわからないけど印象に残りました。
日本人だからこそわかる心が苦しくなるシーンになっていたと思います。

その後ラブレターである絵日記を受け取るジミー。
ここで私はダメでしたね。この後人と会う予定あったので嫌だったんですけど涙止まらなかったです。
もともと瘦せ型っぽい清原さんが更に華奢になっているような気がして、この辺りも『余命10年』と重なりました。
帰りの電車で返事として手紙を書くジミー。
ラブレターはその時々を残す意味もあるけど、時を超えて会話する事も出来る。
とても良い言葉の届け方だなと感じました。

アミとジミーが辿った旅は「自分探し」ではなく「自分を確かめる」旅。
旅を通して、自分が必要とされている存在だと確かめる事が出来た2人はとても幸せだったんじゃないかなと感じました。

本作で信頼が確証に変わったのでこれからも藤井監督が描く恋愛は追いかけていきたいと思います。


【その他メモ・独り言】
・ラブストーリーにしては色彩抑え目、『LoveLetter』に寄せてる?
 過去の恋愛だから壁画の様に色褪せていくようにしている?
・ずっと鼻の下伸びてる18歳ジミー。
・道枝くんこういった脇の役のどんどんやっていってほしい。
・シュー・グァンハン18歳演じて違和感ないのが凄すぎる。
たくみ

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