三四郎

青春18×2 君へと続く道の三四郎のレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
3.5
「トンネルを抜けるとそこは雪国であった」
たしか川端康成の小説『雪国』に「そこは」という言葉は無いよね?
でも、この映画の科白には「そこは」があった方が良いなと思った。

私が大学時代に読んだある本に書いてあったが、『雪国』の英訳版を日本文学を専攻しているカナダ人の大学生に読ませ、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の箇所を各々絵に描いてもらうと、クラス全員がトンネルを描き列車がトンネルから出てくるところを"真横から観た絵"を描いたという。
著者は、日本人が日本語で『雪国』を読めば、暗いトンネルの闇の中を抜けあたり一面雪景色といったまさに"自分自身が列車になったかのよう"に描き、真横から客観的に観察したような絵にはならないと記していた。
この映画は、まさに日本人が日本語で『雪国』を読んで想像する「長いトンネルを抜けると雪国であった」の描き方だった。

なかなかどうして良い映画じゃないか。日本と台湾の合作というのがまた良いね。
日本人と台湾人の優しく繊細な”心”が描かれているように思う。
『Love Letter』という映画が観たくなるじゃないか!笑

『パスト ライブス/再会』なんかよりも心にグッとくる素敵な映画だ。
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