三四郎

ニノチカの三四郎のレビュー・感想・評価

ニノチカ(1939年製作の映画)
4.6
かなり笑える作品!ガルボが笑った!!
ソ連の社会主義体制を上手く巧みに滑稽化し、それでいて洗練されているといった、そんな素晴らしく美しいロマンティックコメディに仕上がっている。コメディなのだが甘美で官能的。

あのコチコチの冷めた赤のガルボがフランス男の部屋でキスして「女」に変わる場面。あれは見ているこっちがぞくぞくするほど官能的だった。今までキスシーンを観てこんなにぞくぞくしたことはなかった。とろけるようなとも言えないし…なぜかしら…う〜む恐らく感情のないような冷たい美女が「女」になるところがそういう気持ちにさせるのかもしれない。
そしてあのガルボとダグラスの大人の演技がまた安定感があり、かつ洗練されていて美しすぎるのだろう。

やはり日本人にはキスシーンは向かないな。できないな。こんなの見せられた日にゃ御手上げ敗走でございます。本当に良くできた見事な美事な作品です。立派すぎて何も言えません。

駅に到着した同志を迎えに行く3人の男。彼らはすでに資本主義の贅沢さ華美絢爛の夢に魅せられている。「あの男が当局から派遣された同志っぽくないか?」と堅苦しそうな中年男の後ろをついて行き声をかけようとする。しかし次の瞬間、「ハイル・ヒットラー!」と迎えに来た奥さんらしき女性にナチス式敬礼で右手を上げ叫ぶ笑「あ、違った」「大間違いだよ」と言い合う愉快な男3人組。まあそこで現れるのがソ連から派遣されて来た同志ガルボである。こういう役は合うなぁ!心がないような冷淡な表情に低いかすれがかった声、彼女でなければこの役はできなかっただろうなぁ。
声といい顔といい私のタイプの女性ではないが名女優だわ。

ロシア人のイメージは男女構わず挨拶やお礼、とにかくいつでもキスをしまくるってことだな笑 トルストイの小説でもそうだったなぁ。

思い出までは検閲できないさ。
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