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青春18×2 君へと続く道のmaroのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
4.0
2024年日本公開映画で面白かった順位:45/60
  ストーリー:★★★★☆
 キャラクター:★★★★☆
     映像:★★★☆☆
     音楽:★★★☆☆
映画館で観たい:★★★★☆

原作のエッセイは未読だけど、綺麗なラブストーリーだなと思った。
読後感が素晴らしいというか、何も言わずに「うんうん」と余韻を嚙みしめたくなる、そんな映画だったかな。

『新聞記者』(2019)以降、映画にドラマに引っ張りだこだよね、藤井道人監督。
人間らしい生活できるのかってぐらい作ってる作品が多いし、そのどれもが高評価なのが凄まじい。
が、個人的には作品によって好みはマチマチ(笑)
この映画は好きな方だったけど、各レビューサイトの評点の高さに期待値が上がりすぎたのか、世間の評価ほどは刺さらずでした。

理由は2つあって、ひとつは結末が早めにわかってしまったこと。
これはもう自分の見方が歪んでるのかもしれないけど、こういうラブストーリー観るときって、「絶対ペアのどっちかに何かあるだろ」って疑っちゃうんだよ(笑)
で、本編始まって30分ぐらい経った頃かな。
ジミー(シュー・グァンハン)とアミ(清原果耶)が夜景を観るシーンでフラグが立っちゃったのでオチが見えてしまって。
「あ~、そういうパターンね」って(笑)

もうひとつは、綺麗すぎたことかな。
本当に感動的で切なくて、手をつなぐのもやっとのプラトニックな関係に昔の自分を思い出すぐらい、こっちが照れ臭くなってしまうほどのリアルさがある。
あるんだけど、そこに恋敵だったり、2人の間のトラブルだったり、ちょっとした対立構造を求めてしまって。
今回の映画、悪い人が誰もいなくて、旅先で会う人会う人みんないい人ばかりで、なんかちょっと出来すぎてる感じがあった。
いや、今の時代、不安定な世の中だからこそ、せめて物語の世界だけは優しさで満たされたいってのもあるけれど。
もしかしたら、もう自分のようなおじさんには、綺麗な世界はまぶしくて見れないのかもしれない。。。
てか、ジミーもアミもメールはしないの?って思った(笑)
なので、映画自体には申し分なく、単純に自分との好みのマッチングの問題かなと思った。

ただ、今回の映画はロケーションが素敵だったのは事実。
台南のちょっとごちゃっとした感じや、アミの故郷である只見の雪景色は訪れたくなるよう魅力的に映し出されていた。
それは、この映画のストーリーとの相乗効果もあるとは思うけど。

もはやラブストーリーってストーリーや設定は出尽くしてると思うから、アクションやホラーとのミックスジャンルにしない限りは、キャラクターの細かな心情変化や、こういうロケーションの使い方で差別化していくことになるんだろう。
その点、こうやって国境を超えるラブストーリーを全方位に受け入れられそうな形に仕上げられるのも藤井道人監督の手腕の高さゆえんかも。

そんなわけで、しんみりする、でも読後感がとてもいいラブストーリーだった。
ストーリー自体はオーソドックスだけど、メインの2人が海を越える間柄というだけで、また違った雰囲気を味わえるね。
若い人の方がハマるかも。
自分もあと10歳若ければ、もっと刺さってたと思う。
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