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バッテリーのodyssのレビュー・感想・評価

バッテリー(2006年製作の映画)
2.5
【筋書きがイマイチ】

BS録画にて。ロードショウは見逃していたので。

野球少年のお話ですが、主人公が天才的なピッチャーで、そのクールさというか、オレ様的なところが林遣都くんのクールな容姿に合っています。でも、作品全体としての出来栄えは、うーん、というレベルでしょう。

だいたい、このヒーロー、性格が悪いんですよね。冒頭、クルマで一家が母の実家に引っ越すシーン、体の弱い弟が咳き込んでいて母親が窓を閉めるよう言っているのにヒーローは全然無視。この印象が最後まで消えず、最後あたりで家族への思いやりをセリフで辻褄合わせ的に補正していますけど、どうも説得力がない。弟のことを気遣っているなら、最初のシーンでは素直に窓を閉めるのが当たり前。親に反抗するのとは違うんですから。

中学の野球部に入ってすぐ、ヒーローだけが長髪なので丸刈りにしてくるように監督に言われて、「オレの球が打てるのか」と応じるのですが、ここで監督が挑発に乗ってしまって、結果、ヒーローにだけ長髪を認めるという進行も変です。ああいう場合、選手個人の力量は無関係。それが野球部の規則だから刈ってこい、嫌ならやめろ、で済ませるのが当然でしょう。私は個人的な意見としてはスポーツ部だから丸刈りという規則は野蛮だと思っていますけど、それとこれとは別です。ヒーロー一人だけが長髪を認められる筋書きはどう見てもおかしい。

バッテリーを主体にしたお話だけれど、捕手の力量がいささかあやしい。投手はやはり、安定して自分の球を受けてくれる捕手が必要。でもこのお話ではその辺がきわめてあやふやです。精神論で済む話じゃないでしょう。ここの処理も、筋書きが練れていないというか、いい加減なんです。

野球を材料にした作品というと、どうしても熱血少年が主人公、的なお話になりがち。ヒーローがクールなのは目新しくていいなと思ったのですが、脚本がもう一つうまくできていない。残念でした。
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