まさなつ

清作の妻のまさなつのレビュー・感想・評価

清作の妻(1965年製作の映画)
3.7
増村保造✖︎若尾文子コンビ作。

戦時中の、閉塞感漂う田舎の村を舞台にした男女の愛憎劇。何だかとても暗い雰囲気。

戦争と言うと第二次世界対戦時を描く映画は多いですが、今作は珍しく日露戦争の時代の話。

鬼気迫る若尾文子が美しい。でも狂っているわけではない。愛に素直なだけ。狂っているのは周りの村人であり、当時の日本の空気の方。戦争で立派に死ぬことが名誉だという戦時中の価値観。男もそう信じ、好きな女がいても、名誉を重んじようとする。一方、女はただ一緒にいたい、戦争で死んで欲しくないと当たり前のことを思っているだけ。でも、時代の空気が、それを許さない。だから、女は切羽詰まって、、。

戦場は出てこないが、戦争の愚かさとその時代の歪な空気感と、不幸な生い立ちの中で愛を貫く女の姿を力強く描写していました。
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