まや

GIFTのまやのネタバレレビュー・内容・結末

GIFT(2023年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

東京フィルメックスにて鑑賞。

すごく楽しみにしていたが、新体験な感じが新鮮だった。本作は石橋英子さんのパフォーマンス映像として濱口監督が『悪は存在しない』の素材を使って制作されたという。映像に合わせて石橋英子さんが毎回ライブパフォーマンスをするための映像。毎回の感じ方が違うので、毎回パフォーマンスも異なるそうで、すごい映像と音楽の掛け合わせという点では新しいなと思った。
(音楽にはあまり詳しくないので映画ではそんな映像の使われ方しないという点で)

インタビューの記事で『悪は存在しない』の夢のようなイメージと濱口監督が仰っているのを見たので、『悪は存在しない』を早く観たいという気持ちが強くなったし、それを見てから本作がどう感じるか感想を書きたいと思った。

何の前情報もなく、初見で観た感想では音楽と映像が直に降ってくるような感じを強く受けた。無声映画ということで、セリフがなく、字幕で物語が捕捉されていく。映像も拘りのある美しいカットが多く煙や光の入り方、一つ一つのシーンを際立たせる音楽と結構好きだった。また、音楽を際立たせるために、ワンシーンを長くしていると編集の方が仰っていたのもなるほどと思った。(娘の花を探しに行く主人公が森を歩いているシーンを並走して撮り、見えなくなったと思ったら花をおんぶしているシーンとそのあとに森を一緒に散歩するシーンは暖かい音楽と相まって訳もわからず泣いた。とても好きなシーンだった)

だが、やはり濱口監督作品における淡々としたセリフが好きなのでそれがないのは少し物足りなさは感じた。濱口監督が自分のものをというよりも石橋英子さんの音楽のためと思って作っているなとも思った。

物語も引き込まれるが、決定的な終わりが難しくて消化不良に感じてしまった。だからこそはやく『悪は存在しない』を観たい。

ただ、濱口監督大好きなのでとても素敵な時間を過ごせたと思う。石橋英子さんのパフォーマンスありきの本作は今後どれくらい観られる機会があるかわからないとのことだったので貴重な体験ができた。それから、ハッピーアワーの演者さん達が結構出演されていてテンションが上がった。

映像のフライングがあったのはほんとちょっとないなと思った。あと、濱口監督にお会いしたかったなとちょっぴり残念だった。
まや

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