ひでG

あんのことのひでGのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
4.1
実話に基くストーリーだということがさらに
ずしんと鉛のように心を重くしていく、
本当にあんのような少女がいて、、彼女を誰も救えなかった今の社会。
そー考えると、さらに辛い、本当に辛い作品だ。
それは観る前から分かっていた、分かっていたけれど、、、💦

ネタバレありです。大きく改行します。











だって、あんなに努力していたのに、
あんなに笑顔見せてくれたのに、
あんなに他人のために尽くすことができたのに、、、

貧困、薬物、毒親、セーフティネット、
彼女を追い詰めたものは様々あるけれど、

あのコロナ禍の閉鎖感、そう全世界が閉じたあの数年間、
小さな社会、ささやかな繋がりを断ち切られた時、彼女は持ち堪えられなかったのだ。

部屋や職場が(物理的に)閉ざされ、灯りが消えていくショットは、本当に怖く、残酷だ。

そうか、みんなキツかったけど、あの時期を乗り越えられなかった人たちもいるんだ。ようやく繋いだ糸を断ち切られることは、命の糸も切られてしまったのだ。
苦しくてもまだ空を見上げる余裕がある人たちにとっては、ブルーインパルスも勇気を与えただろうが、下を向き、打ちひしがれているものには、その姿さえ映らなかったのだ。

それにしても、河合優実の凄いこと!
ステレオタイプの堕落少女ではなく、心の閉ざし方、いや、心を開けた経験値が圧倒的に足りない感じを見事に表してくれた。

その彼女がちょっとずつ自分で買い物をし、
働き、他人のために動き、少しずつ笑顔を見せてくれた、その「ちょっとずつ」を表せる女優さん、この若さでこの表現力の幅広さ!
特に手帳を買うシーンのセリフなしの数10秒の演技。昨日を少しずつ断ち切り、歩み出した買い物。凄い!

最近、バラエティに出ちゃっているけれど、
映画界は彼女を守っていってほしい。下手なバラエティやCMで彼女の才能を昇華させないでくれ!
是枝、白石、三宅と河合優実の組合せを観たいし、世界にも羽ばたいて行ってほしいから。

ただ、一点、気になるところをあげるなら、あの幼子の母親、んん、やや軽くないかな、んん、ちょっと僕は、もう少し違う登場の仕方があったのかな、とも思いました。
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