チャンと刺しときゃ人生変わったのにね。
犬だろうが猫だろうが人だろうが、拾ったら最後まで面倒見ろ!という話。
キノシネマで鑑賞したのだが、この劇場は予告編と共に木下グループのCMを流していて、都会のマンションで一人暮らしを始めて「最高の私が羽ばたいていく!」とかいつも言っている女の子が、薬と売春でボロボロになって出てきたので「うぉぅ...」ってなった。
(この上映に合わせたのか、この現在、木下不動産のCMだけは上映していなかった)
それはそうとして、この女優さんの演技は勿論、テーマ性も素晴らしい。
ギリギリの生活で頑張っている人間にとって、あのコロナ禍がどれだけ残酷だったのか・・・政府はブルーインパルス飛ばしている場合じゃねぇだろ!という怒りも、その通り。
生活保護の窓口で起きている事を初め、社会の弱い物に対するいじめや、同時に誰もが弱さと強さ、良心とずるさも併せ持っている悲しさも分かる。
問題は描きたい事に演出が追いついていないという事。
劇映画としての作劇が今一つで感情移入がしづらいし、物語としてのリアリティというか説得力に欠けるんだよなぁ・・・彼女が追い詰められていく様を描く演出が弱い。
しかも、サイドストーリーが雑音になって、ヒロインの物語に集中出来ないのも辛い。脇役の物語やキャラを掘るなら、もっとチャンと掘って演出してくれ。尺的に足りないならカットしてくれ。
兎に角、テンポが悪い。編集が悪いのか、ムダに長くて集中出来無なかったり、俳優の演技をも殺す様な雑なカットも多くて辛い。
ドキュメンタリータッチのシークエンスと、映像詩的なシークエンスが混ざっていて統一感に欠けるのも入り込めない。
特に、クライマックスの後のシーンは、俳優の演技も台詞回しも説明的というか作為的で、いらないだろ・・・感動を返してくれ。