クリーム

あんのことのクリームのレビュー・感想・評価

あんのこと(2023年製作の映画)
4.1
河合優実さんの感情を無くした顔と自然な笑顔の振り幅は、凄い。やつれた感じとかも自身でコントロールしたと思います。素晴らしかったです。内容は、胸糞悪過ぎて吐きそうなレベル。驚くべき事に元になった新聞記事があり、ほぼ映画の内容と酷似していました。こんなに悲しい人生があるのだろうか。言葉を失った。衝撃作。

21歳の杏は、幼少期から母の虐待を受け、十代半ばから売春を強いられ、小学校でさえ途中から通っていない。ある日、覚醒剤使用容疑で取り調べを受け、多々羅という刑事と出会った。薬物を立つ気があるなら助けると言われ、薬物支援グループに参加し、就職を支援され、荒んだ家庭からの脱出を手助けしてくれた。そして少しずつ、自分の居場所を見つけて行く杏だったが…。



ネタバレ↓



週刊誌記者の桐野は、多々羅が薬物更生者の支援グループを私物化し、参加者の女性に関係を強いていると言うリークを得て、取材を進めていた。
杏は、介護施設で働き、日本語学校に通い、女性専用シェルターに1人住み始めた。明るい兆しが見え、頑張っていた杏だったが、新型コロナウイルスの出現で、仕事も学校も行けなくなってしまった。
その頃、桐野は、支援グループに通っていて来なくなった女性から、多々羅がマッサージや肉体関係を強いて来た証拠のLINEや音声を手に入れ、記事にした。
多々羅は、逮捕され、杏は多々羅に相談する道も断たれた。
隣のシングルマザーが、杏に無理矢理、自分の幼子ハヤト君を押し付けて居なくなった。仕方なく、面倒を見ていたら、母親に出くわしてしまい、この腐ったババアは、
ばあちゃんがコロナで死にそうかも知れないから、見に来てくれと自宅にハヤト君ごと連れ帰ります。
部屋に入るなり、ハヤト君を取り上げ、金が無いから身体売って稼いで来い。3人相手すれば、5万位稼げるだろうと言い、カッターで脅す。
杏はハヤト君を人質に取られ、お金を作って帰るとハヤト君は居ません。
ババアは、泣いて煩いから、役所に電話したら児童相談所が連れて行ったと言う。
さすがに怒った杏は、包丁を手にしたが、殺す事は出来ず、シェルターの部屋から飛び降り自殺してしまった。

ホントに酷い母で、観賞中何度もぶちギレた。杏ちゃんが、母を殺そうとした時、杏ちゃんより、私の方がババア殺したかったと思う程…。子供は親を選べないけど、幸せになる権利はあるハズ。コロナと言う不可抗力に人の生活や幸せの脆さを痛感しました。
多々羅さんの問題も難しかった。立場を利用して女性に関係を強いるのはどんなに良い人でも駄目だし、記者·桐野のした事は間違ってはいないけど、仲良くしておいての潜入的なやり方は好きにはなれなかった。なんと言う難題を投げ掛けてくれる作品なのだろう。衝撃的でした。凄い作品だと思います。
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