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無名のlinenのレビュー・感想・評価

無名(2023年製作の映画)
3.0
映画開始直後、主人公側が国民党の汪兆銘政権側の人間達だと分かり、「中国が国民党主役の映画作るわけなくない…??」という疑問を抱いて見てましたが、最後まで見て払拭されました。メタ的なカタルシス映画。世情を鑑みると察しのいい人はオチがすぐ分かってしまうと思います。
途中刑務所に収監されてた共産党員が、日本が戦争で負けたことにより、刑務所から出されて、逆に日本に靡いてた国民党員が刑務所に収監されていく様子には笑っちゃいましたね。

試写会を見た人達から、「事前に中国の歴史を学んでおいた方がいい」と聞いたので、日清戦争〜日中戦争くらいを復習しておきましたが、結果学んでおいてよかったです。作中で学んだワードが出てくると(汪兆銘とか石原莞爾とか)、「あ!進◯ゼミでやったところだ!」感覚で見れました。
要は、映画の舞台である上海を牛耳る日本軍&国民党汪兆銘派閥(主人公側)VS国民党蒋介石派閥VS共産党って話です
ただ学びすぎたせいか、作中で説明的なセリフが多く出てくるので、「それは知ってるから!話を進めろ!」と若干もどかしい気持ちになりました。
あとこれはスパイノワールと銘打ってますが、個人的にはほとんどオマケ要素に近い気がしました。歴史物見る感じで見た方がいいです。

時系列が複雑、という感想で見たので、覚悟して見に行ったせいか、それほど混乱はしませんでした。ピースが埋まっていく感覚で楽しかったです。

ワンイーボーと彼女の話、この映画でいらなくない?感が強かったですね…世界規模の政局の話してたのに急に規模が小さくなっちゃった感が…ここをトニーレオンとの絆を深める話でも入れれば、二人のバトルもカタストロフィを感じられてもっと面白かったのでは…?と思わざるを得なかったです
あとワンイーボーには、甘い人生の時のイ・ビョンホンを感じました。(あんまり褒めてない)

映画の総評としては、この時代の政局の話好きなのでその点は楽しかったですけど、話自体は特別そこまで面白さを感じなかったですね
歴史的知識欲を刺激させ、なおかつスパイ要素がある作品だと、韓国映画のHUNTの方がクオリティ高かったかな…
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