不思議な映画だったなぁ。
バルカン半島の美しい風景と巨大なモニュメントを前に佇む「尚玄」とミス・マカオ「アデラ・ソー」という美男美女。
出演者全員、英語を母国語としない者たちが、全編英語で演じるという不思議なグローバル感。
世界を旅しながら映画を撮っているという主人公ジェイ(尚玄さん)はリム・カーワイ監督の分身?
アデラ・ソーとイン・ジアン。監督の好みの女子はスリムでクールな美人なのかな?
リム・カーワイ監督の撮影方法は「脚本なしの即興」! バルカン半島という地で、尚玄さんやアデラ・ソーさんが感じたままが映画になっていくという実験的手法。
「ドキュメンタリー映画を作っていく手法でフィクションを作る」by リム・カーワイ。
ストーリーの合間合間に入るボスニア・ヘルツェゴビナのおじさんたちが語る戦争の話は、まさにドキュメンタリー。
美し過ぎる映像と、相反する「コロナ禍」や「ウクライナ戦争」など、この時代に流れる孤独や閉塞感が作品全体を貫く。
本作はリム・カーワイ監督のバルカン半島三部作の完結編という位置付けで、作品内には前2作品と関連が多々出てくるのだが、残念ながら私は未見であったので、機会があれば前2作品も見てみたいものだ。