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すべて、至るところにあるのKUBOのレビュー・感想・評価

すべて、至るところにある(2023年製作の映画)
3.6
不思議な映画だったなぁ。

バルカン半島の美しい風景と巨大なモニュメントを前に佇む「尚玄」とミス・マカオ「アデラ・ソー」という美男美女。

出演者全員、英語を母国語としない者たちが、全編英語で演じるという不思議なグローバル感。

世界を旅しながら映画を撮っているという主人公ジェイ(尚玄さん)はリム・カーワイ監督の分身?

アデラ・ソーとイン・ジアン。監督の好みの女子はスリムでクールな美人なのかな?

リム・カーワイ監督の撮影方法は「脚本なしの即興」! バルカン半島という地で、尚玄さんやアデラ・ソーさんが感じたままが映画になっていくという実験的手法。

「ドキュメンタリー映画を作っていく手法でフィクションを作る」by リム・カーワイ。

ストーリーの合間合間に入るボスニア・ヘルツェゴビナのおじさんたちが語る戦争の話は、まさにドキュメンタリー。

美し過ぎる映像と、相反する「コロナ禍」や「ウクライナ戦争」など、この時代に流れる孤独や閉塞感が作品全体を貫く。

本作はリム・カーワイ監督のバルカン半島三部作の完結編という位置付けで、作品内には前2作品と関連が多々出てくるのだが、残念ながら私は未見であったので、機会があれば前2作品も見てみたいものだ。
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