すいかずら

陰陽師0のすいかずらのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
3.8
夢枕獏の原作も岡野玲子の漫画も読み、野村萬斎の映画も稲垣吾郎のドラマも鑑賞してきた身。当時は古典芸能を思わせる幽玄さと陰陽道という古くて新しいダークファンタジーが売りだった。
あれから20余年を経た令和の陰陽師は、なんだかとてもわかりやすい“陰陽師入門編”に。劇中でもセリフを途中で現代語にスイッチしてみせたほか、博雅が問う形で随所にわかりやすい説明を挿入。本作の鍵となる〈呪〉をしっかり「暗示」「思い込み」と定義したことで、なんと明快な世界になったことか。
術のバトルも派手なVFX、若き晴明のアクションもあいまって、ゲーム世界のようで、まさに令和の若者に向けた入門編。
特に今年は大河ドラマで老年期のユースケ晴明の姿が見られるので、得業生になる前の若造が、いずれ星をもって政に影響を及ぼす存在になると思うと味わい深い。

物語は、晴明&博雅のバディ物であること以外、夢枕獏作品とは思えない世界観。晴明にはもっと泰然としていてほしい。けど、山崎賢人晴明も、ラストはバトルで一皮剥けたかのようにいい感じに。板垣李光人の帝はこの世の者とは思えぬ美しさ。けど、徽子女王を取っちゃダメだよ。
そして、エンドロールの“呪術監修 加門七海”に快哉! 蠱毒の作り方を見せてくれてありがとう!
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