Rii

パーマネント・バケーションのRiiのレビュー・感想・評価

4.2
「物語というものは 点と点を結んで最後に何か現れる絵のようなものだ。
僕の物語もそれだ。
ひとつの点から別の点へ移る。
だが、何も大して変わるわけじゃない。
今僕が語っている物語は
そこからここ、いや、ここからここへの話だ」

.....
全部見終わった後、この言葉を振り返ると、なんという表現のうまさ…と感動してしまった。(スティーブジョブズの名言をも想起。)

テレワークから久々の出勤。
誰のせいでもない、"出勤に伴う無意識の気疲れ"が、どっとよせてきて、「何も考えずにぼーっとしたい」、そんな気持ちになったので、大好きなジム・ジャームッシュ、しかも処女作を鑑賞。

まず、彼の作品が好きすぎてかなり鑑賞したけれど、今年度のパターソンまでの進化、半端ないなと。

そして、ジム・ジャームッシュ作品といえば、独特の雰囲気と、サックスのメロディと、効果音の使い方。これは処女作から変わらないな…

ストーリーとしては淡々と進むのだけれど、疲れた平日の夜に時間も最適。


「漂流してれば孤独ではないと思うことができる。
本当に孤独だと感じるよりましだ。
ある者たちは
野心とか働かねばという気持ちで 
孤独をまぎらわせている。
僕は できない。」

最後に。この言葉にハッとしたのはわたしだけでしょうか…?
働きすぎと言われる日本人、確かに抗えない忙しさもあるのだけれど、
なにかとセカセカと、自ら野望(買いたいものも、やりたいことも)を無意識に作り出してしまう、もしくは、必要以上にやるべきことを作り出してしまう、そんな傾向ってないでしょうか。むしろ、何かに達成感を感じて生きる人間、それが当たり前なのかもしれない。

仕事を退職して孤独を感じる人が多い世の中。

嫌だと思っている仕事でさえも、
それが自分の"ある種の孤独"からの逃れだとすれば、

主人公が、一見落ちこぼれた 世の中から逃げた人のようにも見える反面、
ジム・ジャームッシュの描く視点は素晴らしく、
主人公のように"放浪する"ことは、ある意味「孤独と向きあっている」のかもしれない、
そして、それはかなり勇気のいることなのかもしれない、

とも思ってしまいました。

わたしも放浪したい〜

さーて明日からもぼちぼち仕事するぞ〜
Rii

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