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緋牡丹博徒 お竜参上のodyssのレビュー・感想・評価

緋牡丹博徒 お竜参上(1970年製作の映画)
4.2
【最後のシーンがすごい】

(以下は7年前に書いたレビューです。)

DVDにて。
藤純子主演、緋牡丹博徒シリーズ第6作。

助っ人として菅原文太が登場しますが、かなり押さえた演技をしているところが目を惹きます。ふつうの菅原のイメージとはちょっと違うけれど、かえってそこが助っ人の真心を表現していていい。

筋書きも演劇が絡むなどして、単なるヤクザのシマ争いといった、ヤクザ映画にありがちな粗筋とはちょっと違ったものになっている。この点で脚本をほめるべきでしょう。さらにその演劇の内容が、作中人物の運命とも関連づけられているから、なおさら。

最後のお約束の闘いのシーンでは、お竜さんは手傷を負うだけでなく、髪がほどけてざんばら髪になります。ここがすごい! あくまで女としての品位を失わないお竜さんが、ここでは死に物狂いの表情を見せており、しかもそれで女の魅力を余すところなく表現している。このシリーズのお約束で、お竜さんは男と関係したり、入れ墨を見せる場面を別にすれば肌をさらすことはしないわけですけど、お竜さんはここでいわば心を裸にして見せてくれているのだと思いました。

シリーズ屈指の傑作とされるだけのことはあると感じ入りました。
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