垂直落下式サミング

ゴーストバスターズ/フローズン・サマーの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

3.0
前作の舞台のオクラホマがしけたド田舎すぎて嫌だったので、大都会ニューヨークに帰ってきてくれたことに、とりあえず安堵。ゴーストバスターズと言えば、マンハッタンでっしゃろ。雑で行き当たりばったりだけれど、ゴーストを倒してニューヨーカーたちからの喝采を浴びるラストシークエンスをみると、こちらも無条件で気分が高揚する。
1900年代のニューヨーク。過去からはじまるアバンタイトルのドキドキはなかなか。あの消防署から当時のファイヤーマンたちが出動していって、不気味な事件の起こった部屋に突入すると、球体に封じられていた氷の妖怪と会合してしまう。
今回の敵は、ゴーストバスターズたちと直接的な因縁はないが、あの消防署とは浅からぬ縁が…。なるほど!今回は、キャラクターではなくて、場所にフォーカスするのか。だったら、なかなか面白いんじゃないの。
スペングラー孫の友だちとして出てくるゴーストの女の子も、火事で命を落としているとかでしたから、今回はあの消防署がなんかしらの意味を持つのだと思っていたら、なりゆきで最終決戦の舞台になるだけで、特にそういう凝った仕掛けはなくてガッカリ。
結局また血筋の話である。80年代のマジックも解けたのだし、深みのなさを面白がれるほど酔狂な人でないと楽しめないのでは?本来ならエキスパート集団でなければならないはずのチームは、ウッスい家族系に成り果てて…。おいたわしい…。家族でバスターズとか、所帯染みていてイヤだ。
前作もだったけど、メインのコイツらを誰ひとり好きになれない。理科教師のパパやラジコンの上手い兄貴はともかく、お母さんは特殊な技能持ってないんだから現場に出るのはふさわしくないってのもゴモットモな意見ですし。
そもそも、無責任にプラズマぶっぱなして町を破壊するクソガキは、野放しにしちゃいけないでしょうよ。あんなテキトーな仕事してたら、偉い人に怒られるの当たり前だと思う。
スペングラー家がニューヨークに移り住んでるのはいいとして、前作のあの子もこの子も田舎から出て来てますって…、どんだけ狭い世界なのよ。あの東洋人のガキも、ホントかわいくねえしさぁ。
シリーズ全体の問題点だけれど、ゴーストによって、どの程度の被害が出ているのか、その描写を省いちゃってるのがよくない。ラスボス以外は特に凶悪ってわけでもなくて、お菓子食うとか空飛ぶとか、その程度のことだから、あんなにしてまで退治しなきゃいけないほど危険な存在だとする説得力が薄いんすよね。
前作の『アフターライフ』の時点で、終わらせてえんだか、続けてえんだか、よくわかんなかったんだよな。ユルいギャグを隠れ蓑にストーリーがどっち付かずなもんですから、第一作目からの不誠実な雑さも、ちゃんと引き継いじゃってる。アメリカンのコメディは、現象として楽しむのが吉だなあと再認識。