見終わった後歩きたくなる映画大体傑作。終電寝過ごしたくなったけどこういうのって自ら寝過ごしに行くんじゃなくてたまたま寝過ごしちゃったからこそ沁みる。
主人公のバディージャは移民としてベルギーに移り住み暮らしていた。清掃員として働く彼女は終電を寝過ごしてしまい、歩いて帰宅せざるを得なくなってしまう。寝過ごすことなんて初めてらしい。ただの帰宅が映画になってしまうような小さな出来事が起こる日に何かの力が彼女を眠らせたようにも見え、いざバディージャの真夜中の冒険が始まる。知っていると思っていた地元の知らない一面を知ってゆく彼女を絶妙な距離感で見守るように映していく。夜に働く様々な人たちと触れ合っていく途中で立ち寄ったショップの女性店員に車で送ってもらえることになったが途中で娘を見つけ下車する。17歳の娘は仲間とブリュッセルの夜の街を楽しんでいた。声を掛けるでもなく娘を追跡するバディージャは、この街で当たり前に生きている年頃の娘としての姿を初めて知る。スーパーで酒を買っていたのを警察にチクるとこ最高だった。母親として娘へのデッケェ愛感じた。ハシゴで『Here』も見たけど最高の映画デイだった。エドワード・ホッパーの『ナイトホークス』的な寂しさや、1人のブリュッセルでの1日を追ったシャンタル・アケルマンの『ジャンヌ・ディエルマン』のようでもあり、ラストの日射しは『オルメイヤーの阿房宮』を心地良くしたようで良過ぎて死にかけた。