RIO

ノスタルジア 4K修復版のRIOのレビュー・感想・評価

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)
5.0
籠められた祈りの炎の形
静かなもの 激しくも燃え上がる

頻繁に天高くから雷鳴が轟く
その響きを聞く度に神様のような高い存在を感じた
これはラストに水溜りに映り込んだ3本の柱でも同じように
「お前が存在するのではなく 私が代わりに存在する」という聖カテリーナに告げた神様の言葉も同じような心的作用がありました

頭がおかしいと隣人から理解されないドメニコはフェーデ☆信仰に現される
彼のフェーデはロシアの詩人によって継がれています

ロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーを愛し何よりも母親と詩を愛するアンドレイ・ゴルチャコフの前にはやたらと天使の羽が舞い降りる

ドメニコの家のボロボロの扉を開けると部屋には乱雑に椅子が打ち捨てられ土で溢れている その土の形はやがてゴルチャコフの故郷の山々の隆起に連なってゆく こ✨これは4Kで劇場という視覚で気付くことが出来た
どこか幻想的で優美な美しさに満ちていました

カオスに生きる者を映す鏡
世紀末を迎えても慢心したままの人間の在り方 破滅を目前に自由に意味はない
自分の中にある水に火に忠実であれ

その各々が生まれた時に持ったシリンダーに最大限の清らかなものを入れようとする努力
祈りの持続が想像を超え単純な原点に還る力

初めて観たときとは全く異なる印象が残りました 奥が深い海のようです


……


死を浮かべた宙仰ぐ人
悲しみの洞窟から繋ぎを解き
火を持って水の中へと分け入る
消えるなと念じ2つの手のひらに守られた最後のともしび
彼方から聞こえる故郷の歌を望み
美しい夢などとは程遠く静かに眠につく

RIO作
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