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モーヴァンのmのネタバレレビュー・内容・結末

モーヴァン(2002年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

The Velvet UndergroundのI'm Sticking With Youをかけながら○○を○○するシーンをみて、とんでもないDVDを買ってしまったって思った

悲しみへの向き合い方や、そこからの立ち直り方は人それぞれだ。大声で泣き叫んだり、手を取り合って悼んだりすることだけが回復に繋がるとは限らない。確かに彼女の行動の一部は反社会的であるけれど、そこには彼女なりの愛があったって思う(あと怒り)。どうしてそう思ったのか。事実を誰にも言わなかったから。遺書の指示にほとんど従わなかったから。ミックステープを最後まで手放さなかったから。一番の理由は、彼女が生きるのをやめなかったから。現状以上に"生きよう"としていたから。たぶんそれ以上の愛ってこの世界にない。

絶望の底に突き落とされるたび「これは何の意味があるの?」と感じさせられる。数えきれないほど何度も。全てを持ってる様にみえる人にとっても、きっと人生は厳しい。感情をコントロールするのは困難で、真の繋がりは稀。他者の視点から人生をみることはできない。だから理解されたいと思わない方がいい。それでもモーヴァンが破滅しなかったのは、ひとりぼっちで泣いてる子の部屋をノックする優しさと、現状を受け入れて残ったものを利用してでも生き延るしぶとさがあったから。

共感できるシーンはすくなかったし派手な映画ではないけど、はっとするシーンがいくつもある美しい映画だった。
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