あんじょーら

Pina ピナ・バウシュ 踊り続けるいのちのあんじょーらのレビュー・感想・評価

2.9
ピナ・バウシュ、有名はコリオグラファーです。私は1作しか見たこと無いですが、それをヴィム・ヴェンダースが3Dで映画化!!結構期待して観に行きました。3Dも初めてですし。ヴィム・ヴェンダース作品ではいろいろありますけれど有名どころでは「パリ、テキサス」とか「ベルリン・天使の詩」とかでしょうか?個人的にはベストは「夢の涯てまでも」です、凄い映画でした、笠智衆も出演してます!そんなヴィム・ヴェンダース監督最新作ですし、ダンスを3Dで描く、ということに、舞台芸術を映画にすることに興味があって観てきました。


ダンス、それもコンテンポラリーダンスの分野で非常に有名な振り付け士であるピナ・バウシュとヴィム・ヴェンダースが競作しようとしていたところ、突然ピナが病死してしまい、急遽、彼女の作品を映像に収め、団員のモノローグを被せるという追悼作品として仕上がった映画、しかも3D作品です。


踊る、という事に加えて、作品として、身近で、しかも3Dで、ダンサーの息づかいまでを感じさせる(ちゃんと聞こえます)素晴らしい映像に仕上がっています、さすがヴェンダース!基本的に室内で行われるダンスが野外に出ることでの奇妙な開放感と異次元感が織り成す映像世界はかなり新鮮で、モノレールの下で踊られる部分なんかはかなり斬新だと感じました。


また、とても近くから撮影されていて、普通は舞台芸術ですので、観客席から舞台を観ることになりますが、それを同じ舞台の上で踊りを見ているかのような錯覚さえ感じさせる近さと3D映像!興奮しました。


また、ピナの作品の面白さという部分も、かなりたくさんの作品が出てきますので、面白いと思います。中でも個人的な好みで言いますと「春の祭典」は別格で面白かったです。ストラヴィンスキーの音楽って独特ですけれど、しかもこの「春の祭典」って様々な方々が作品にしていますが、どんな方のモノでもかなり楽しめる作品に仕上がっていて、音楽のチカラの強さを改めて認識させられますね。


ただ、確かに斬新ではありますけれど、作品はかなり演劇的要素が大きく、踊り手であるダンサーの際立った個性というものが無い、という部分に不満を感じました。多分誰もが参加しようと思えば出来る、という側面があるのだと思いますが、それはパフォーマンスと言うものでダンスとはちょっと違うと個人的には感じました。プロのダンサーでしか表現できないものの凄さを見てみたい、と思ってしまう私は、案外保守的な、クラッシックな作品を好んでいることを気がつかされました。


ダンスに興味がある方に、新しい映像が気になる方に、オススメ致します。