もぐら

ウルトラマンブレーザー THE MOVIE 大怪獣首都激突のもぐらのネタバレレビュー・内容・結末

2.6

このレビューはネタバレを含みます

V99に関する事件解決後も怪獣の出現は留まる事を知らない。ズグガン、タガヌラーの同時大量出現に疑問を持つSKaRDの隊員達。怪獣大量出現地付近にある駆除された怪獣の残骸、処理などを扱う企業ネクロマス社が怪しいと睨んだSKaRDはネクロマスのCEOマブセとのコンタクトを計る。
SKaRD隊長ゲントがマブセの下へ訪れネクロマスの実態を探っていると、突如現れたダムノー星人がネクロマス社のシステムを乗っ取ってしまう。ダムノー星人の要望は「ネクロマス社が開発したダムドキシンは地球環境を汚染するものであるから開発を中止しろ」というものであった。
しかし、タイムリミットを迎えてしまいハッキングされた防衛軍の兵器からネクロマス社に向けてミサイルが発射されてしまう。
打つ手無くミサイルがネクロマス社本社に直撃してしまい、培養されていた怪獣の細胞のポッドやダムドキシンの入ったタンクが爆発してしまう。
爆発により融合した怪獣の細胞とダムドキシンにより妖骸魔獣ゴンギルガンが誕生してしまう...

ウルトラマンブレーザー劇場版作品。

テレビシリーズをとても楽しめたので、劇場版ウルトラマンブレーザーも楽しみに観に行きました。
一言で言えば「テレビシリーズの方が面白かった」です。

冒頭のSKaRD隊員とアースガロン、ウルトラマンブレーザー対怪獣軍団は見応えがありました。単純にとても多い物量やアクション、カメラアングルなどテレビ版では出来なかったことをやってやるぞという意気込みを受け取れました。

しかし、物語が全く面白くない。テレビ版のブレーザーの良いところが本作では殆ど感じられませんでした。
今作変に子どもを物語の軸に置いたが為に違和感やチープさが出てしまった様な印象です。
前振りは有ったものの子どもが企業や防衛軍のシステムにハッキングしてしまうという荒唐無稽さ。正直この時点で白けてしまいました。
語弊がある表現にはなるもののウルトラマンブレーザーという作品は主人公の息子以外は子供が絡む作品ではありませんでした。(『朝と夜の間』以外)
『朝と夜の間』は子供がメインになっていて子どもと怪獣のドラマがしっかり描かれていたので楽しめたのですが、本作は中途半端な感じがしてしまいました。
親の愛を感じられない哀しみを怒りとして大人たちに現実を突き付けて怪獣として暴走するという流れが余りにも幼稚で全く乗り切れませんでした。
幼稚な内容にしては子供には理解することが難しそうな現代社会風刺的台詞があったり、この作品はどの層を楽しませようとしているのか分からないな、と思ってしまいました。
俺としてはこの社会風刺をもっと掘り下げてくれたらもっと楽しめたのですが、そうすると観ている子供達が置いてけぼりになってしまうし...
とにかく中途半端。

劇中のゲントの息子ジュンに対する対応も違和感があり、テレビシリーズでもゲントの隊長としては立派だが父親としてはまだまだな所がある点は幾度となく描かれてきました。しかし今作の前半ジュンから母であるサトコがいなくなってしまったという不安な気持ちを抱えながら電話を掛けてきたジュンに対してサトコがいなくなった事よりも仕事の方が大事だと言わんばかりの対応はどうなの?と思ってしまいました。
テレビシリーズで少しずつでも父親として成長していたものを本作で台無しにしてしまった様に感じました。
その後も特にゲントが父としてジュンと会話することもないですし、とても残念でした。
ヒルマ親子とマブセ親子を対比的に描きたかったのかも知れませんが、全く上手く描き切れていない様に感じました。

カメラアングルや走りながら変身するシーンなど良い所ももちろんあったのですが物語の面白くなさに最早クライマックスも入り込むことが出来ないままでした。
国会議事堂ももっと完全に壊して欲しかったなとか、バタン!と倒れたブレーザーがその後何事もなく戦っている違和感や最終回で見せたブレーザー光線も何だか劇場版でも発動させて安売りしてるなとか悪いところばかり気になってしまいました。

悪い意味でテレビスペシャル版の様な作品だった様に感じました。期待し過ぎてしまったかなという感じです。
これならよっぽどテレビシリーズを視直している方が楽しめたかなと思います。

…あと仕方ないことなのかも知れませんが、映画冒頭のテレビシリーズ総集編映像があまりにも長ったらしくて苦痛でした。80分にも満たない作品なのに10分程(?)の総集編はないんじゃないですか?と思ってしまいました。
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