くりふ

カレー&青酸カリ:ジョリー・ジョセフ事件のくりふのレビュー・感想・評価

4.0
【羊の皮を被って沈黙】

Netflix新作ドキュメンタリー。インドのケーララ州で起きた連続殺人事件を追ったもので、これは知らなかったが、犯人のサイコパスぶりに仰天ですわ。

トホホな直訳邦題だが、それで避けて見ないと、勿体ない。和歌山毒物カレー事件を連想するが、アチラよりある意味、激辛…。

法的には裁判続行中らしいが、逮捕のきっかけが或る自白なので、これはクロでしょう。

ある裕福な一族で、14年間で6人が死んでゆくが、そのスパンが狭まり、死因が怪しくなってくる…。これは怖い。そして他人事だと正直…面白い。人間とはこうなのかって意味で。

ヘタな言い方すると、ヘタなサスペンス映画より引き込まれますよ、コレ。

インドゆえ起きた事件ではないが、インドゆえの迷走はあるよね。あと、舞台は海に向いたインド最南西の州で、キリスト教徒が多いのが特徴。インドゆえ、というよりは、キリスト教徒ゆえの犯罪だと思う。犯人が言ったという“私も赦されます”にゾッとした。

ホント、いくら神を信じても、心は浄化されないんだよね。だから殺人者も反省しない。

インド映画ではよく警察のマヌケぶりが描かれ、本作を見ると確かになあ…とも思える。しかしそれこそ、冤罪の可能性も指摘される和歌山の事件を振り返れば、日本の警察だってアンフェアって意味じゃ似たようなもの?とも思う。

後は、他人事だと面白いが、自分事だと、業だと思う。身近でサイコパスと暮らすような業を持っていれば、自分もやがて、この被害者同様となるでしょう。問題は、そこだ。

まさか自分はそうならないだろう…と思っちゃうのが、落とし穴。本事件の被害者たちも、そうだったのだから。

様々な意味で、見応え、ございました。クリスマスにはこういう映画こそ、見るべきだと思います。www

<2023.12.25記>
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