IrieTanaka

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のIrieTanakaのレビュー・感想・評価

4.5
4/12公開ということでさっそく観てきたから、その感想をば。結論からいうと、「青山剛昌ファンは見逃し厳禁」の内容で、エンドロール後には『異次元の狙撃手』の例のあれなんて比にならないほどの、名探偵コナンひいては青山剛昌ワールドの物語の根幹を揺るがす、とんでもないサプライズが…!!あれの衝撃をどれだけの観客が理解しているかは分からないけど、少なくとも自分は数分間頭の中の整理が必要だったし、終幕後の劇場内がどよめいていたのも事実。往年の青山剛昌ファンはババちびってもおかしくない内容だから、心して行くべし。以下、ネタバレを多分に含んだレビューになるため、映画未見の人はここでUターンを⚠️

【感謝感激雨霰!青山ワールドオールスタームービー!】
名探偵コナンで時々ある「関西編」(平次、和葉、紅葉、伊織)、青山剛昌が名探偵コナン前に連載していた「マジック快斗」(キッド、青子、中森警部)、「YAIBA」(沖田、鬼丸)といつものレギュラーメンバーが離合集散を繰り返し物語を盛り上げる!西村警部の再登場がかすむ…
これで白馬や紅子、刃なんかも出てたら完璧だったけど贅沢は言いません!既に往年の青山剛昌ファンは涙を流して茫然自失の様子です!
沖田や鬼丸は既に原作でも登場済だったからあれだけど(それでも登場当時の衝撃ははかり知れなかった…!!)、青子まで出てくるとは思ってなくてびっくりしたし、「マジック快斗」未読で映画を見た人は多分みんな寝癖直すのを忘れた蘭姉ちゃんだと思ってると思うよ。
あと、いつも原作だとキッドにしてやられる役回りで格好いい場面皆無の中森警部が狙撃された連行中の容疑者に覆い被さって自分が被弾するところとか刑事の矜持にシビれたし、それを見たキッドが動揺、激昂して狙撃手に突っ込むとことかルパン&銭形に通ずる宿敵関係の中にある立場を超えた友情を感じて、おじさんはああいうアツい場面に弱い😭コナン世界では端役だった沖田が獅子奮迅の大活躍を劇場版でしてるの本当に感慨深い…

【全体的なストーリー構成】
物語的にはアクション抑えめ。函館の地を舞台に繰り広げられる、日本刀の謎をめぐる重厚なミステリーという感じで大人も楽しめる物語構成となっており、かつ、全部集めたら宝の在処が分かる(ポーネグリフ?)かっちょいい6本の日本刀を奪い奪われるカーチェイスみたいな要素もあって、アクション的な視点でも楽しまる内容となってる。あと、1番わりー奴がブライアン・D・カドクラ(Dの一族?)っていう武器商人で、いい味出してた。
日本刀をめぐる謎にくわえ、平次と和葉の恋の行方や、平次とキッドをめぐるキスの因縁、悪い奴らと剣士たち(平次、沖田、鬼丸、聖)のチャンバラ劇など、要素が多くてしっちゃかめっちゃかな印象を受けたけど、まあ見てて楽しかった!
コミカルなシーンも多くて、特に最後の紅葉と伊織がスタングレネードを「あっ」て言ってヘリから落とす場面なんかはもう😂転がる観覧車の上で肉弾戦を繰り広げる超人を2人既に見てるからか、墜落するセスナの上で剣戟を繰り広げる平次と聖を見ても大して驚かないのが、調教されてるな自分って思う。笑

【これを劇場版でやるか!(ラストシーンの衝撃)】
事件に関する謎が次々に展開されていくなかで、最後の最後まで明かされない刑事「川添」の正体。そのままエンドロールへ。観客が全員「で、結局あいつは何だったの?」となるなか、エンドロール後に工藤優作が登場人物、超ド級のサプライズが!
なんと、新一とキッドの血縁関係が劇場版ではじめて明かされたのである!!詳述すると、初代怪盗キッドで現在のキッド(黒羽快斗)の父である黒羽盗一と工藤優作が双子の兄弟で、したがって新一とキッドは血が繋がっている歴とした従兄弟!!!そして「まじっく快斗」では故人とされていた黒羽盗一が最後に黒いマントを纏い月下に照らされた闇夜の中に不適な笑みを浮かべて登場し、今作は幕を下ろしたのである!!!一体全体どういうことだってばよ??
思えばもう十何年も前の昔のインタビューで生みの親である青山剛昌が「新一とキッドの顔がそっくりなのにはちゃんとした裏設定があってただ似ているだけではないです。いつか明かされると思います」と発言した頃から新一とキッド血縁関係説は根強くあったし、今作の予告編で平次がキッドに対して「お前、その顔!!」って言って「ついに明かされるキッドの真実」っていうナレーションがついてた時点で「ひょっとしたら種明かしくるか?!」と察してたけど、実際に明かされると、30年に及ぶコナン史の中でのその種明かしの衝撃の大きさにしばし口を閉ざして思いを巡らすしかないよね😅
故人とされていた黒羽盗一が生存していたことが分かり、設定自体が180度覆されたことで名探偵コナンやまじっく快斗の物語が大きく動きだすのは必至!黒羽盗一には、かねてより「黒の組織のボス説」や「まじっく快斗に登場する怪盗コルボーの正体説」が囁かれており、まじっく快斗に登場するビッグジュエルを狙って謎の組織の全貌も明かされていない。
名探偵コナンの物語を折り返し地点を過ぎ、まじっく快斗と名探偵コナンの世界線が融合する形で物語が終わりに向かっていくのか、まじっく快斗は単体で謎を回収していくのか。まじっく快斗の「謎の組織」と名探偵コナンの「黒の組織」は同一の組織なのか、そして黒羽盗一はなぜ息子や家族の前に姿を現さないのか、黒の組織のとの関わりはあるのか?これからの両作品がどういった展開で完結を迎えるのか、青山剛昌ファンは要注目である。

【今後の原作展開について】
好きな作品のハイパーリンクやカメオ出演が大好物なので、青山剛昌ワールド大放出のお祭的な今作はすっごい楽しめた✌️
あと、個人的な立場としては劇場版は原作のパラレルワールドであって然るべきという考え方だったんだけど、今作でこういうのもいいなって思った。原作の平次と和葉に扮したキッドのキスの因縁の続きをやってたり、(結局上手くいかなかったけど)平次が和葉に告白しようとしたり、黒羽盗一はじめ他作品のキャラが登場したり、原作補完どころかほぼ原作と地続きの内容で、これ原作を読まずに年1回の劇場版だけ観てる人だと訳分からんだろうな〜と思った。けど、そういう人でも映画自体の謎解きやアクションで楽しませてくれるのがコナン映画のコンテンツ力よな🤔
だけど、サンデーで追ってる原作勢としては平次とキッドのキスの因縁が、今作のセスナから落下した平次をキッドがハンググライダーで助けて「キスの借りはこれで返した!」の一言で済ませられるのは何か嫌だな〜ちゃんと原作でやってほしかったな〜というのが正直なところ。今後、原作で平次とキッドが共演することがあったとして、ここらへんがどうなってるのかが気になるところ。

p.s.来年の劇場版は長野県警が主役だよ!やったね!
IrieTanaka

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