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テルマ&ルイーズ 4Kのkchのレビュー・感想・評価

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)
4.8
大好きだ〜〜〜〜〜どうしたらいい?殺さないまでも、トラックくらい燃やして生きたい。if I were you, I just choose the same thing, shooting a guy though.

抑圧から逃れてバカンスに出る。逃れた先にも抑圧の起因に根を張る男社会が顔を出すから、もう殺してしまうしかない。彼女たち(わたしたち)を苦しめる抑圧を殺して、束の間の自由、こんなに楽しかったことはない、「初めて目が覚めているような気分」......しかし、それを劈く次なる抑圧。殺しても閉じ込めても燃やしてもついてくる。ここから元の生活に戻っても、この世界には希望はない。抑圧と抑圧の間にあったわずかな時間のバカンスだけが、わたしたちの大切にしたいもの。エメラルドグリーンのサンダーバードが、重力を無視して宙に飛び出した時間が人生で最も輝かしくて、楽しくて、目が覚めている瞬間に思える。映画はそのまま時間を止めてくれる。だけどエンドロールが終わってしまって気づくのだ、重力はある。抑圧と抑圧の間にあった自由は束の間だ。少なくとも、彼女たちの生きた時代、わたしたちの生きる社会においては。

決して希望まっしぐらの映画ではない。救いのない、苦すぎる現実を背景に、だけれども絶望だけではない連帯を望んでいるのだ、と宣言する。
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