Masato

インサイド・ヘッド2のMasatoのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド2(2024年製作の映画)
4.3

試写会にて

大ヒットしたピクサー映画の続編にしてマリオに並ぶハイスピードで今年初の10億ドル映画となった本作。ピート・ドクターの経験談を基にした1作目の続編を新人監督らが務めるとなって不安だったものの、評判に違わぬ出来の良さだった。前作のダイジェストが試写では流れたので前作未見でも"シンパイ"ない。

前作と同じく些細な物語を最高のアイデアを持ってして最大の物語にした映画。誰もが起こり得る変哲のない話なのに、設定ひとつでここまで面白くできるものなのかと感心してしまうのは流石ピクサー。矢継ぎ早に展開していく昨今のディズニー映画の超ハイテンポさはさることながら、ごく普通の思春期の行動、一挙手一投足に最高の笑いとスリルが込められているこの面白さが半端じゃない。今回は思春期となりより人間味のある言動が増えてより面白かった。

テーマも本当に良かった。これを見てどれだけ救われた子どもがいるのだろうかと想像するだけでも涙が出てくる。最近よく扱われるセルフラブ、自己肯定・自己受容の物語。白にも黒にもなってしまうありのままの姿を受容していく様を描いた『クルエラ』や、移民一世の親の苦労を無下にできずに自分にとって苦しい場所に押し込んでいる主人公が自分や他者のありのままの姿の大切さに気付く『マイ・エレメント』、そして『私ときどきレッサーパンダ』など、不安が常に纏わりついているこの社会で、環境に振り回されないように自分がどうあるべきかを描く映画は増えてきた。

本作は現実も現実の思春期の子どもの物語を描いているためド直球のテーマとなっており、より分かりやすく突き刺さる物語になっていたのは前作同様。こうあるべきという固定概念に囚われず、自分の良い部分も悪い部分も受け容れて生きていく。本当に大切なのはありのままの自分が自分も他者も幸せにして暮らせる生き方をすることなんだと説くのは否が応でも泣く。こんな理由も聞かずに抱いてくれるような映画、小さいときから観てたら本当に幸せになると思う。そう思わせてくれる。

様々な人が様々な姿で様々なことを自由に出来る。そんな他者を受容する多様な社会を作るにはまず「らしさ」や「べき」から解き放たれたありのままの自分を作ることなんじゃないかと。それがまずその社会の実現への一歩なんじゃないかと、その初歩を目撃したかのような映画だった。

日本だけだと思うが、最初に監督の言葉を載せたのはファミリー映画らしくわかりやすくて良い反面、物語の答えを明かされた感じがして個人的には残念。映画の中で気づきたかった。

すごち声優だなと思ってたら多部未華子だった。凄かった…
任○堂のス○ブラに出てくるF○のキャラみたいなヤツのグラフィックが面白すぎた。
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