Lou

インサイド・ヘッド2のLouのレビュー・感想・評価

インサイド・ヘッド2(2024年製作の映画)
4.1
前作から9年、高校入学を目前に控えたライリーに新たな感情がやってくる......

さすがはピクサー、今回も外さない手堅い脚本で安定の面白さ。感情を擬人化させた視覚的なイメージで、脳内のはたらきを解説していくストーリーはやはり設定から勝っている。そう言えば「はたらく細胞」も似たような構図だと思ったら原作の連載開始年が2015年と意外な共通点。2つ合わせれば、人間のできあがり。

それでは本作について.....感情の種類が増えたことでキャラクターも倍くらいになりまさにカオス!感情同士の矛盾でライリーは振り回されっぱなし。ただ流石に同じ場所にキャラクターを集合させるとストーリーの収集がつかなくなってしまうので、序盤から中盤にかけて新旧を別れさせて並行的に描き、後半の大団円に向かいキャラクターをまとめあげることで感情の渋滞を描きながらも破綻をうまい具合に回避している巧妙な脚本。前作に引き続きアカデミー賞受賞もありえそう。

とはいえ完全に腑に落ちる物語だったかというとそうとも言いきれない。まず高校入学目前にしてようやく思春期が訪れるのは遅すぎない??感情の嵐は中学生くらいから始まりそうなものだが、そこは舞台設定の都合上スルーしたのかな。
それと「どんな感情も、あなたの宝物になる」というキャッチコピー。最高の思い出以外は見えない場所に捨てていたヨロコビらが、その実の大切さに気づくことがエンディングへ向かう原動力となっているが、その描き方が物理的すぎるというか、そうじゃなくて心の中におけるどういう反応として、どういう変化として、それがライリーを救うことになったのか。その昇華の過程が、結論を先取りするあまり判然としていないように感じてしまった。

それでもやっぱり、矛盾や葛藤や悩みを抱えること自体を否定せずそのまま受け入れるということ、そしてそれがいつか思い出というプレゼントになって自分を守ってくれるというメッセージそのものは、ライリーと同世代の子供たちにかける言葉として、作り手である大人達の愛を感じる。

果たして続編はあるのか......?!
Lou

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