MasaichiYaguchi

クラメルカガリのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

クラメルカガリ(2024年製作の映画)
3.7
「クラユカバ」の塚原重義監督が、作家・成田良悟さんによる同作のスピンオフ小説を原案に手がけた長編アニメーションは、日々迷宮のように変化する炭鉱の町を舞台に、地図屋を営む少女カガリが風変わりな町の人々と織りなす物語を、幻想と現実が入り混じったレトロな世界観で描く。
零細採掘業者がひしめく炭鉱町「箱庭」で生まれ育った少女カガリは、刻々と変化していく町並みを地図に書き留める「箱庭紡ぎ」を生業としている。
一方、カガリの幼馴染みの少年ユウヤは箱庭からの脱却を夢みていた。
やがて2人は個性豊かな住民たちと共に、この町全体を揺るがす陰謀に巻き込まれていくことになる。
儚くも強かに日々を過ごしていた2人の日常は、頻発する不審な“陥没事故”により変化が訪れ、街をゆるがすうねりの中で、少女と少年は“ちょっとだけ”大人になっていく。
「クラユカバ」もそうだが、過ぎし日の郷愁を誘う琥珀色の幻想情景を舞台に展開される“活劇浪漫”は唯一無二で胸踊ります。