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ジョン・レノン 失われた週末のshimaluckyのレビュー・感想・評価

4.5
ジョンとヨーコの別居中、ヨーコにあてがわれたような形でジョンの側にいた秘書メイ・パンから見た「失われた週末」と呼ばれている18ヶ月。

高圧的なヨーコからの指示でジョンのそばにいることになったメイ、彼女自身はまだ23歳のウブな少女、神経質で精神的に不安定なジョン、一緒にいたら寄り添ってしまうのは自然の流れ。ソコも見抜いた上でコントロールしようとするヨーコ。関係がギクシャクしているヨーコとジョンは、普通なら終わりというところをヨーコの尋常じゃない磁力でジョンを引き留めている。ソレはカリスマ性なのかなんなのか。
ビートルズ世代でない私はジョンやヨーコ自体に興味はなく、3人の異なるキャラクターを通して「こうなったらこうなる」的な心理学的観点から映画をみた。自分自身、ヨーコのように相手をコントロールしてみたこともあるし、メイのように相手に寄り添うこともある、というか基本はメイのような人間だ。ジョンのように相手に全てを委ねて楽をする部分もあるし、自分に置き換えてみていた分、見終わった後がかなりシンドイ。
ジョンは結局ヨーコの元に戻り、ヨーコはジョンの妻として歴史に残る人間となる。「元の鞘」に戻ったとはいえ、実際の二人の関係はどうだったんだろうか。ジョンは魂が抜けた状態だったのかもしれない。ヨーコも物理的にジョンが戻ってきてももう幸せはなかったかもしれない。よく「おしどり夫婦」と言われてるカップルが実は仲が悪かったりするけれど、それと同じかもしれない。
メイは自分に似ている部分が多いので、いた堪れなくなる。帰ってこなかったジョン、突然この世からいなくなってしまったジョン、生きていると想定外のことがいつでも起こる。ジュリアンや元妻シンシアとの交流は心温まると同時に、優しい普通の善人では磁力が足らないのか?と自分に置き換えて辛くなってくる。
「アレが最後とは」と言いながら目を潤ますメイの表情、まだ完全に立ち直っていないのかもしれない。それでもジュリアンとの交流は本物で優しい気持ちになれるエンディングだった。
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