【こういう物語こそリメイクしようよ】
Amazonプライム・ビデオにて。興味はあったが、みるのは初めて。1969年の東映まんがまつりで上映された一本。
石森章太郎の原作漫画も未読ですが、かなりアレンジしてあるようですね。また、時系列では『サイボーグ009』より後発で、悪役設定に通底したものがあるのが興味深い。
“幽霊船”ということで古典怪談風に始まるが、60分の短尺内で敵味方も、物語そのものもどんどん転調、ひっくり返ってゆくのがまず、面白い。
で、前述した敵設定…要は軍産複合体の危険性について明確に打ち出している。これ、今…というかしばらく前から実際に起きていること、そのものじゃないか。
さらに、メディアによる悪の伝播まで、この頃すでに、子供向け映画で抑えている。表立って言えないことを、フィクションで代弁させるのは映画の大切な役割のはず。いま語るべきは、こういう物語じゃないのか。未来の子供たちにとっても。乞うリメイク!
60分という制限ゆえか、語りはかなりの舌足らずだが、面白さとスピード感が打ち消して、あまり気にならない。今の映画ならこれに二時間かけるだろうね。単に、短く語るスキルがないから。
当時のリミテッド・アニメでは、絵的な魅力はあまりないが、小気味よいのは美点。あと驚いたのは、白昼に都市部が襲撃される生々しさが、これ程出ていたのかと。映画のエモーションって、お金や技術で作られるものじゃない、と改めて教えられ嬉しくなった。
あと、本作はある種ディザスター映画なのに、街並みの描き方などに高度成長期のエネルギーが満ちていて、元気をもらえますね(笑)。
一方、最後のある行動を、子供たちに決断させるのは脚本的に疑問。あとで大人がそれを打ち消すけれど、始めからやらせるべきじゃない…と考えてしまうのも、現代だからだろうか。
50年近く前に60分でこれだけ面白い映画があったんだ!…という反省や一縷の希望を抱かされる。こういう体験ができるから、古い映画をみることも舐めちゃいけないんだよね。
<2018.7.2記>