リミナ

トラペジウムのリミナのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
3.5
※原作未読

乃木坂46の元メンバーである高山一実著の同名小説が原作。
アイドルを目指すために主人公が実行した計画は思わぬ方向へと進んでいく。

一部のレビューでは主人公の一部行動の過激さを誇張したものが目立つが、実際の劇中ではその行動の裏には彼女なりの想いがあり、最終的には失敗を経ての結末が待っている真っ当な物語。
ただ、主人公目線で描かれるため、巻き込まれる形でアイドルになった他メンバー3人のアイドルに対する想いやイメージとのギャップに対しての苦悩の描写が不足しているように感じてしまった。

作画面はアイドルが題材というキャラを魅せる作風でありながら、アニメーターの個性を画面に残しているのが作画ファンには嬉しいところ。また、スマホやカメラなど操作する場面が多い中で手元の動きが細やかだった他、ダンスは3DCGとの切り替えが自然だったり、街中などでの群衆は作画で描かれていたのが良かった。

演出面も登場人物にとって馴染みの展望台といった場所を同ポジで映し、物語の展開に合わせて対比的に見せたり、不安を煽る場面でダッチアングルやドリーズームが使われていたのが印象的。「流れに身を任せる」という台詞を電車内で発言させ、後のシーンでは主人公が電車には乗らずホームに残る描写も電車の使い方が巧い。

全体的に良い要素はあるものの、想像を超えてくるものがなかった。
アイドルファンが目にするとまた違った見え方がするのかもしれない。
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