イマジンカイザー

トラペジウムのイマジンカイザーのレビュー・感想・評価

トラペジウム(2024年製作の映画)
4.0
スルーするつもりで風評だけみてたのですが、あまりにも賛否の振れ幅が左右に傾きまくってて、どっちが正しいのか分からないと思い悩み、じゃあものは試しと観に行ってまいりました。
まあなんというか、嫌味だなあギスギスしよるなあと思いつつも、ちゃんとその辺に自覚的で、それすら糧にして成り上がる主人公はとても魅力的でおもしろかったです。


冒頭から既に他者を遣い潰す気まんまんで。顔の良さと計算高さ、時にはアドリブを駆使して仲間たちを懐柔し、自らの理想図を描くのに邁進する主人公東ゆう。何も知らないで観るとうわぁ腹立つなあと思うけど、ある程度中身を知ってたので、えっ、じゃあ後半はこいつさんざんに打ちのめされるの……? とある種戦々恐々として観られました。

他者のメンタルケアをすることも、この打算を怒る人間もいないが故に増長し、どうしようもない破滅まで石が積み上げられてく様はそれはそれでたのしい。
けど、そこで得たものまでないがしろにされるわけではなく。その夢にはノれなかったけど、自分たちを見出してくれてありがとう、になる話し筋は割と好みかも。

主人公が改めてそれと向き合い、肯定し、ゆえの結末は上手いことやったなこの野郎と思うばかり。いやー、ちょこちょこ嫌なやつだなと思いつつも嫌いになれないです、東ゆう。
これは劇場という逃げ場のない空間で見れて良かった。