びーち

シビル・ウォー アメリカ最後の日のびーちのレビュー・感想・評価

4.1
米国で内戦が勃発するという話。劇中仔細な政治状況の説明はないが、大統領が3選したことやFBIが廃止されたことが仄めかされ、独裁政権と叛旗を翻すカリフォルニア・テキサス合同軍の戦いであることが次第に明らかになる。ジャーナリストの目を通して描かれる内戦は、市民も武装し、敵味方も判然とせず熾烈を極める。そこには戦場の英雄は存在しない。皆、身の危険に怯え、怖れ慄き、自らの身を守るために発砲する。英国人監督アレックス・ガーランドによる描写は、とてもリアルで緊迫感に溢れ、キーウやガザのことが頭に浮かぶ。本来であれば絵空事とも思えるこの主題が、かくも真実味をおびるのは、それだけ米国の分断が深刻であるという証左だろう。
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