良かったは良かったが、一部酷評されてる理由もわかる。
予告映像から受ける印象と内容が全然違った。もっとアメリカの至る所で兵器を使用した激しい戦闘が行われ、各地のランドマークが破壊されまくってるような激しい映像が見られるものだと思っていた。
しかし蓋を開けてみれば戦闘は最後のホワイトハウスだけで、それ以外は四人の記者のロードムービー。そこが期待してたものと違った。新米記者と同じ視点から見る、市民の暴動や無秩序な惨劇のインパクトがあって良かった。ロードムービーとしての良さはまああったが、最後のシーンのためには、もっと主人公の先輩記者との絆の形成の様子を描いた方が良かったのでは?感動シーンと呼ぶにはあっさりしてたように思う。
あと、そもそもなぜアメリカが分断されているのか、勢力関係、各々の立場が冒頭に言葉で説明されるだけで、アメリカの土地勘もあやふやな私にはピンとこなかった。せめて一発でも図での説明があったなら。
そして何より、劇中に流れる音楽がどれも合っていない。急にMVみたいになったり、シリアスな雰囲気を壊すアップテンポの曲だったり。この作品を真面目な紛争話にしたいのか、人間のクレイジーさを押したいのか、どっちつかずに感じてしまう。ラストカットも含めて、シリアスなはずの戦争をどこかシニカルに描こうとしてる節が気になった。
戦場の最前線を収めたホンモノのジャーナリズム作品なら『マリウポリの20日間』を推したい。