分断とジャーナリズム
難解なアート系の作品が多いアレックス・ガーランド監督にしては珍しい社会派作品。日本に住んでいながら、かつてないほど戦争を他人事と言っていられない昨今において、分裂したアメリカの内戦というあながち絵空事ともいえない設定がセンセーショナル。一方で、一ジャーナリストの目線で描かれるストーリーは普遍的で、ドキュメンタリーのような各地の紛争現場でリアルにありそうな内容。市街戦の臨場感は「ブラックホーク・ダウン」並み。一方で、戦場を一歩離れると普通に日常があるという落差にリアリティを感じる。
個人発信の無責任なSNSによってジャーナリズムが侵食され、それが権力者にうまく利用されて分断を招いてる現在に、命懸けで現場に立ち合い真実を伝える責任あるジャーナリズムの復権が望まれる。