ハルキっクス

水深ゼロメートルからのハルキっクスのネタバレレビュー・内容・結末

水深ゼロメートルから(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

山下敦弘監督作品&さとうほなみが出演しているとのことで見に行った作品。
城定秀夫監督作品「アルプススタンドのはしのほう」の脚本を手がけた中田夢花さんの第二弾の作品とのことでまず前作を見なければと思った次第。
さて作品の感想はというと、
女子高生ならではの苦労、葛藤、喜びなどがぎっしり詰まった作品で男性である自分からすると理解できることが少なかったのが印象。
夏休みの高校、ココロとミクは授業の水泳をそれぞれの理由で休んでしまったことによって教師の山本先生に呼び出された補修をすることに。
その補修とは水泳プールの砂を綺麗にするということ。
その補修の最中、同級生のチヅルが現れ一緒に掃除?(全く掃除はしないが)をすることに。そこに水泳部の先輩のユイも現れてそれぞれの女子高校生の思うままの等身大の姿を描いていく。
水のないプールということで基本そこで広げられる会話劇といったところだが、
なにか劇的な進展があるわけではなく、
その子たち「女子」特有の悩みや問題についてをぶつけていくストーリー。
ストーリー序盤の山下敦弘監督ならではのゆっくりな実景カットはとても好きで昔の「リンダリンダリンダ」でも同じようなカットはあったがこちらは物語序盤の使い方で、
説明的ではあるがこの物語の温かさを序盤で表現しているなと個人的に感じた。
劇的な変化がないのに最後まで見れたのは各々のキャラクターに被りがないが、皆共通で抱えている問題である「女の子としての悩み」という部分でジェンダー論的な視点が今の社会ともリンクするところであるからだろうか。
ココロがメイクは誰かを気にしてしてるものではなく可愛くなっていく自分が好きだからというところが本当に羨ましくて、
自分を好きになる努力ができる人なのだなと人間としてとても尊重できるところを感じた(ただ見え方によっては一般的な量産型女子高生で男子によっては嫌な人は嫌なキャラなのかな?)
自分が高校生の時に見ると絶対にココロは嫌いなキャラだが25歳になり自分を好きになるということの大変さしんどさを感じてきた今でみるととても努力している人だと思う。
ほとんどがプールで繰り広げられる物語ぬえに中盤のたるさは否めないが、
水で満たされてはないが、
最後にはこれから満たされていくのだろう(それぞれの登場人物のこれから)といった見方もできるためとてもテーマに沿った素晴らしい作品なのだと思う。
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