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DOORのlovejazzのネタバレレビュー・内容・結末

DOOR(1988年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【ネタバレにもほどがあるほどのネタバレ注意】

作品内のすべての違和感を回収するべく踏み込んだ考察をしています。お気をつけて。

🎬🎥📽

この作品はチープなサイコサスペンスホラーの皮を被った、実は隠れたミステリー映画かもしれない。

山川からの電話が終わったあと、110番しようとしてためらい、かけないのはなぜか。相手がわからないからかけてもしょうがないと思いとどまったのだなと観ている者は思わされる。しかし。

そのあとの、ドアチェーンが外側からスーッとはずされて何者かが宅内に侵入し襲ってくる場面、ここを夢あるいは想像と判断してよいのか?そのあと夫からの電話では妙に朗らかで「何もなかった」と言い、タクトには「ママキレイだよ」とまで言われるほどの充実感、満たされ感が出ているのはなぜだ?つまり、侵入者は現実であり、何者かに満たされたのである。いちど襲って受け入れられた山川なので、「お待たせしました私です」も素頓狂な台詞ではなくなり、それ以後の彼の行動原理には味をしめた立場の未練めいた要素が加わる。前夜に靖子が取り出したコンドームの場所も知っているわけだ。これは満たされない団地妻の倒錯したプレイの一貫なのだ。巧妙に隙をつくり獲物を誘って襲わせて、満たされたあともしつこく迫られたら念のため正当防衛が成り立つ状況を作って始末する。HONDAタクトはもともと助っ人なのである。しかし、母のそうした性癖には呆れている。血抜きしてバラバラにしたあとの風呂掃除が大変だし、ゴミ出しも決まった日だけでは足りなくなる理由もわかる。ラストカットの本田靖子の目は次の獲物を見つけたハンターの目にほかならなかった。
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