kurita

ヴェルクマイスター・ハーモニー 4Kレストア版のkuritaのレビュー・感想・評価

5.0
良かった。タル・ベーラ作品の中でも1、2を争うくらいには好きな作品になった。
最初から最後まで画力が強すぎる。その力強さは圧倒的で、もはや暴力的ですらある。それほどに全てのシーンがありありと脳裏に焼き付けられる。

しかし実際画面上で起こっていることといえば、男が歩き続け、彷徨い続ける様をただ追い続けるのみ。
彷徨う男がいる街は、わずかに残っていた社会基盤も一夜にして崩れ去り、無法地帯となる。広場に打ち捨てられた鯨。哀れで虚しいその巨体に、壊れてしまった主人公が重なる。
自分自身も空っぽになった気持がして思わず涙が溢れた。
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