グランドシネマサンシャイン池袋にてスタンディング鑑賞。最高の映画体験を生み出してくれた。
今作品で初めて、計8階12スクリーン数で構成された非常に大きいシネコンで映画鑑賞をした。まずその観客の多さに感動してしまった。普段ミニシアターに行くので、あのように様々な世代の人々が映画館へ映画を娯楽として観に行き、彼らの今にもスキップしそうなそのハツラツさに上映前から感動を覚える。ああ映画館という場所はこんなエネルギーがあるものだったのか…と。ミニシアターの、観客同士、観客と映画が評価し合う緊張で張り詰めた空気感も好きだが、シネコンとはこんな素直にエネルギーと楽しさを提供できる場所だったのか。
映画が始まると後ろからスピーカーの爆音に負けじと体と声を鳴らし知らない音楽へ全てを投げる。火には火を、わたしは狂気には狂気を、映画館の暗闇に向がて両手を伸ばし叫ぶ。青春をかけたTHE1975を何度も何度も重ねてわたしを取り戻す。計算し尽くされた照明と画角が映し出すのは 暗闇に照らされた人物。そして周りはスタンディングで思い思いに歌い踊るひとびと。知らぬわたしたちはほんの90分で魂を共鳴させエンドロールは誰一人立たず共に手拍子を鳴らす。何度もの大喝采…
上映後には全員が高揚しているのが明白だった。あのような上映前から観客の心が躍ることや、観客が集団として一体化した空間とその高揚感は、映画館にしか生み出せない。あの空間は映画館が作り出せる映画体験の可能性を意味していた。映画はいつも記憶より遠く、身体より近い。脊髄を叩き割るような暴力的な映画体験は映画館だけが生み 出せるもの。この稀な映画体験をしたとき、映画を愛してきたことが救われる。わたしの中毒の最初は映画より映画体験であったことを思い出した。
