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スオミの話をしようのtakのレビュー・感想・評価

スオミの話をしよう(2024年製作の映画)
3.3
突然姿を消した大富豪の妻スオミのために、歴代5人の夫が一同に集まった。しかし彼らが知るスオミはとても同一人物とは思えない相違が。スオミの行方は?本当のスオミとは?

三谷幸喜らしい舞台調の会話劇と、長澤まさみがそれぞれのキャラを演じ分けるのが楽しい。クライマックスの個別対応はNG連発してるに違いない。それもちょっと見たい気がするw。芸達者を揃えた男たちのキャスティング。マゾっ気の塊のような夫①遠藤憲一は、彼女のルーツを知るだけに実はよき理解者。西島秀俊の上司を演ずる夫③小林隆の騙されっぷりにはクスクス笑ってしまう。そして彼女にとって一番信頼できるのは夫④西島秀俊なのかも。

セスナ機の場面での上昇気流に…って、コントのようなギャグには、ここまでやる?とちょっと冷めたが、人の良さそうな瀬戸康史のキャラのせいか許せてしまったw

ともあれ、いろんな長澤まさみを見られるのがいちばんの見どころ。神出鬼没な宮澤エマの好助演も楽しませてくれた。

※以下ネタバレ含みます
相手に合わせてキャラを変えていたのは、あざとさではなくて彼女なりの生き方だった。それだけに現在の夫⑤の無関心が楽でよかった、とスオミは言う。予告編で受けるのは、ぶっ飛んだ女性に振り回された男たちの話という先入観だが、実は相手が望む女性像にスオミが合わせる苦労があった。そんな男と女の関わりの話にオチを持ってきたのは予想と違う着地点。なるほどね。

ウディ・アレンの珍作「カメレオンマン」を思い出した。あれは防衛本能から周囲の人物や環境に合わせてしまう男の物語だった。誰しも生活の場面によっては素の自分を出せず、キャラとは違う自分を演じてしまうことがあるじゃない。スオミの行動の根底にはそれがある。そこを三谷幸喜は人間喜劇に仕上げてくれた。

ラスト、突然のミュージカルシーン。あれだけヘルシンキを連呼されたら夢に出ちゃいます🤣
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