このレビューはネタバレを含みます
全ての監督作品を観ている訳では無いものの、どうも自分には三谷監督作品は合わない様で、三谷監督作品で大当たりの作品に出会った事は一度もありませんでした。
本作もその例に漏れずイマイチ…どころか、個人的には今年観た映画でワーストの最有力候補となる程。
鑑賞前に良い評判を見聞きしていなかったので嫌な予感はしていたのですが、見事にその予感が的中した様です。
やっちまったなー三谷監督。😅
散々引っ張った謎の答え合わせが雑過ぎであった事と、お寒いコメディ描写。
この二つが、個人的に本作でダメだと感じた部分です。
特に前者に関しては致命的であったと思います。
パンフ掲載のインタビューによれば、三谷監督は「何故スミオは失踪したのか」、「何故スミオは相手によって性格を使い分ける様になったのか」と云う沢山の謎を前半に盛り込む事によって観客に興味を持たせ続ける事を意識したそうです。
しかし、本作はそんな謎作りに注力するあまり、その答えの提示が疎かになっていたかと思います。
失踪については結局スオミの狂言で、パートナーとでも言うべき同性の大親友と共に、憧れのフィンランドにて誰にも依存しない・支配されない新生活を身代金で送ろうとしていた…と云うのが顛末。
結局己を滅私して配偶者好みの性格であり続けたのは、そう望まれた(そうせざるを得なかった)から(恐らく女性が自分らしく生きられないこの国への批判)と云う事以上に踏み込んだ理由の描写も無し。
散々引っ張った割に大どんでん返しも何も無いまま終わるかと思いきや、スオミの過去の夫の遍歴と憧れのフィンランドの首都ヘルシンキへの慕情を歌い上げるミュージカル(三谷監督曰くカーテンコールとの事。)で強引に終わらせる…と云うとんでもないエンディング。
歌の内容もお寒いし、観ていた時は冒頭で述べた様に「やっちまったな」と云う感想しか無かったです。
コメディシーンのお寒さは好き嫌いのお話ではありますが、それでも高校生(?)時代のスオミを長澤さんにやらせちゃあかんでしょ😅
母親役も長澤さんにやらせて一人二役の三者面談シーンは失笑ものでした。
うーん…三谷監督の笑いは、自分には合わないのかな。
本作唯一の収穫と言うか見所は、上述したカーテンコールでの歌唱等の長澤さんの芸達者っぷり位。
三谷作品は、三谷さんが脚本だけ担当するドラマは問題無く観れるのに、脚本だけでなく監督も兼ねる映画になるとイマイチになるのは何故なのでしょうかね…。