MasaichiYaguchi

ピアノ・レッスン 4KデジタルリマスターのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.9
第66回アカデミー賞主演女優賞・助演女優賞・脚本賞、第46回カンヌ国際映画祭パルムドールなど、数々の映画賞を受賞したニュージーランド出身のジェーン・カンピオン監督がメガホンをとった本作は、1台のピアノを中心に展開する三角関係が官能的に繰り広げられていく。
19世紀半ば、エイダはニュージーランド入植者のスチュアートに嫁ぐ為に娘フローラと1台のピアノと共にスコットランドからやって来る。
口のきけない彼女にとって自分の感情を表現できるピアノは大切なものだったが、スチュアートは重いピアノを浜辺に置き去りにし、粗野な地主ベインズの土地と交換してしまう。
エイダに興味を抱いたベインズは、自分に演奏を教えるならピアノを返すと彼女に提案し、仕方なく受け入れるエイダだったが、レッスンを重ねるうちにベインズに惹かれていく。
「私」らしい生き方と幸せを探すヒロイン像の原点である本作は、ジェーン・カンピオン監督に女性監督初のパルム・ドールをもたらし、世界的に注目される女性監督が少なかった時代から現在に至るまで、第一線で活躍を続けるパイオニア的な存在として後進の女性監督に影響を与え続けている。
原題は「The Piano」で、ヒロインのエイダはしゃべらない代わりにピアノを弾き、声で表現する代わりに音楽と表情で全てを語る。
このエイダを演じたホリー・ハンターは、言葉を発しない難役を見事に演じた上に自らピアノ演奏をこなし、カンヌ国際映画祭女優賞、アカデミー賞主演女優賞も獲得している。
そしてエイダが弾くピアノ曲をはじめとした音楽を担当したのがマイケル・ナイマンで、特にメイン・テーマ曲「The Heart Asks Pleasure First (楽しみを希う心)」は、心に残ります。