みたこ

夢みる小学校 完結編のみたこのレビュー・感想・評価

夢みる小学校 完結編(2024年製作の映画)
5.0
まずこの映画に興味を持ったのは、「先生がいない、国語も算数もない学校があるんだよ。」とタテチンから言われた言葉だった。

たてちんはスパイラルクラブのメンバーで
“森の学校みっけ”(徳島県神山町にあるオルタナティブスクール)について取材をしていて、その話を聞いてから、学校という現場について興味を持ち、今回、この映画を観た。



「これだから日本の教育は…とか。」よく聞く。じゃあどのような教育がいいのだろう??と思うけど、その答えは見つからず。

でもこの映画を見て、答えを見つけれた気がした。

この映画のきのくに子どもの村学園は小学校から中学校までの9年間エスカレーター式で上がって行く。学年はほぼなくて、各々興味がある科目に分かれて行動していくため、他の学年ごちゃ混ぜで、年齢バラバラという感じだ。その科目は大工系、料理系、演劇系、農業系…他にもあった気がするけど忘れた😂

まず、小学一年生から自分の机と椅子を作る。ノコギリと釘とトンカチを慣れない手つきで小さな手で、友達と協力しながら作ってた。それがだんだんと、小屋や渡り廊下など、、、
作る前に小型の模型を作ってシミレーションなどもしてる。しょっぱな驚いた、怪我しそうでも、オトナは何も口出しせず見守る。

※この学校には先生がいないけどオトナはいる。見守ったり、みんなが安全に過ごせるようなアドバイザーの役割。

時間割のほとんどは、”プロジェクト“と言うのがあり、それは何をするのかみんなで会議をして今後の予定を決めていくことらしい。(例えば、農業だったら蕎麦の実の栽培など…)
それを話し合ったりする時も、みんな床に座ったり、椅子にあぐらをかいたり、スタイルは様々だけどオトナは何も言わない。何故なら子供たちはきちんと話し合いに参加できているから。話し合いに参加できているなら、姿勢の指導などしない。集中できる姿勢は人それぞれだし、そもそも話し合いに参加できているのなら関係ない。と言うようなことだった。

プロジェクトの時間では、毎回司会者が変わる。そして、必ずみんながその司会の役割をするらしい。日頃、話の妨げをするような落ち着きのない子が司会をするようになると、自分が司会の時に、話が進まないような子の存在が,自分と照らし合わされて、
“自分はこの子みたいに話し合いの時にみんなに迷惑をかけていたのか”と客観視できるようになり、段々と協調性が生まれていき、話し合いに参加しだすんだと。


休み時間の職員室は友達と遊ぶかのようにオトナと遊ぶ子供たち。オトナたちも、子供を子供扱いせず、1人の人間として尊重していた。大人の肩に乗って肩車をして楽しんだり、大人の膝の上に乗って話を聞く姿。
スキンシップがとてもあって温かかった。やっぱり、肌と肌が触れ合う関係ってとても親密で温かい。

行事(修学旅行、運動会、卒業を祝う会※夢みる小学校ては卒業式と呼ばない)の運営進行も自分たちでする。

修学旅行は行き先から、泊まるホテル、どのくらいの費用がかかり、どのようなタイムスケジュールで行くのかもみんなで話し合いをしていた。あるクラスは、広島に行きたいと。
理由は原爆投下された県だからだと。
 正直、小学生の修学旅行は東京とか大阪とか沖縄とか楽しいことばかりができる所に行こうとなるんじゃないか?と思っていたけど、自ら率先して「原爆のことを知りたいから」と言う気持ちでその県を選択した子供達。
日本の起きた過去を知ろうとする気持ちがとても強い。
原爆のことを知ろうと思える気持ち、そこから今起きている気候変動、戦争、そこへも子供達の興味は注いでいて、自ら調べて学ぶ姿が見られた。しかも楽しそうに、やらされていない。

受け身だけの学習だけではなく、
自分が学習したい事をただただ学習していくだけ。

この学校では、学習の仕方を教える教育をしているのだと感じた。


中学校の校長は「本当の自分を曝け出せない、疲れ果ててる子供達に安らぎを与えられるような、自分でいていいという、安心した気持ちでになれるような環境を大人は作らなければならない」「自由には責任が伴う。でもその責任は大人が背負うから、いいから自由に、自分が思うようにやってみなという感じです、自由にさせる事が、本当の信頼だと思う」というように言っていた。

この学校のオトナは、何も口出しをしない。
誤ったことが起きたらアドバイスをする。それまで、口を出したくなるけど我慢我慢…。その我慢は子供に対する信頼があるか、口出しをしたいけど、ギリギリまで我慢するのだという。

この学校のオトナは公立小学校での先生をしていた人や、きのくに子どもの村学園の卒業生だったりと様々だったが、先生たちも生き生きとして楽しそうに働いていた。ここの中学の校長先生は登山が好きで、何か目標を達成したいという気持ちから、たくさんの準備期間を得てアルプスかヒマラヤか忘れたけど、マジやばい山まで登頂したという。

すげーなぁまじでぇ。

ここの学校の創始者堀さんは、ニイルと言う人の自由教育を知り、学校を開いたんだと。これについては後でディグしよう。

六年生が中学に上がる時の卒業を祝う会のシーン。
一人一人が気持ちを述べていく。
「自分の気持ちをみんなに伝えるのができなくて、みんなの前で話すのもできなかったけど、この学校で自分に自信を持つことができました」というのをみんなが口を揃えていっていて、それを話してが真っ直ぐで、逞しくて、かっこよかった。


映画を見てる時、
めちゃめちゃ涙が止まらなかった。

心を開いた子供の姿を見ていると、
ホッとする気持ちにもなったけど、
この世界には心をまだ開けていない子供もいるんだよなぁと思う気持ちにもなった。

そして、上映後はオオタヴィンさん登壇で、実際に話も伺うことができた。

話を聞きながら、また涙が出てきた。
この映画で、また素敵なオトナとの出会いがありました。
みたこ

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