ミシンそば

ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉のミシンそばのレビュー・感想・評価

4.5
「自分より強い奴が存在することが許せない」
格闘漫画なんかで似たような文言はよく出るし、闘争を生業とする存在であるなら本能的に備わっている性であると思う。
ウマ娘周りはゲームはもちろん、原典の競走馬まわりのこともよく知らないが、これに関しては「よく知らないからこそ」楽しめた面が凄く強い作品だ。

ミリしら勢からすれば美少女ゲーが原作のようにも見えるが、内容が恐らく史実準拠なんだろうって展開に終始し、恥も外聞もないようなものすごい形相で必死になって走る彼女らの姿の迫力は音響の良さも相まって圧倒される。
競馬と言う概念がない世界らしいが、観客の熱狂も納得だ。
超ギラギラした、オラオラ系な性格の主人公がいて、ファンキーな格好と言動の割りには本当に強いライバルがいる構図はスポ根色よりも熱い何かを感じた。
史実を交えた展開や、主人公が己の限界を感じてしまう焦燥等、エグい展開も結構ある分、ウマ娘と言う媒体の「本気度」も感じられた。
限界のその先が見えようが、結局闘争を生業とする以上、「自分より強い奴が存在することが許せない」、賢しい態度を決め込もうが、本能レベルで闘争者のウマ娘ならそれに抗えないし、抗うべきではない――その本能に対する「本気度」を。

ゲームの方を、本作を観たからってやるつもりはないが、今度新しい映画が公開されたら観てみようかなって思えるほどに熱い作品だった。