らんらん

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版のらんらんのレビュー・感想・評価

4.1
アベル・フェラーラ、1992年。

クズ中のクズ。この男の中に何かしら美徳なり麗しさを見つけるとしたら、家族を裏切り同僚を裏切り職務を裏切るこの男がそれでも何故か生き延びることに楽観的かつ、とっくにどこにも紐付かない希望の切れ端を息も絶え絶え、握り締め続けていることだろうか。

舌先三寸、俺絶対主義。オレオレオレオレ、俺を赦してくれ。カトリシズムの赦しはよく分からないけど、神だって実はどっちだっていいんじゃないか。

ラストで私が解放されたことは確かである。
男につきまとっていたカメラが、男を道路の向こう側に置き去りにする。群衆の中に突き放す。一人称からの解放だ。
この男が赦したのか赦されたのか、助かったのか助からなかったのかは、どうでもいい。
歯を食いしばれ!90年代の裸族帝王ハーヴェイ・カイテル降臨す。
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