りょうすけ

バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版のりょうすけのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「バッド・ルーテナント/刑事とドラッグとキリスト デジタルリマスター版」

「キング・オブ・ニューヨーク」のアベル・フェラーラとハーヴェイ・カイテルがタッグを組んだクライム映画。

全裸でチ◯ポだけモザイクがかかっている斬新なポスターに惹かれてデジタルリマスター版で初鑑賞したけど、薬物漬けの汚職警部補(Lieutenant)を演じたハーヴェイ・カイテルの演技力ここに極まれりというべき怪作だった。

酒、薬物、賭博、恐喝、猥褻、汚職。職業を利用して悪行の限りを尽くす主人公は、カトリック教徒でありながらも教会に対しては懐疑的な人物。クズではあるんだけど、なんか嫌いになれないキャラではあった。

免許不携帯(無免許?)の女子2人の片方にケツを出させて、もう1人にフェラの仕草をさせながら、自分は自慰行為に耽るシーンは、とんでもない緊張感と不快感を感じると同時に、絵としての魅力が非常に高いシーンだったし、カイテルが血管に薬物を注入するシーンの長回しもなかなかに見応えがあった。

尼僧のレイプシーンはかなりきつかったし、それに対して尼僧が信仰を貫き通す様、そして主人公が尼僧の清さに感化され、自らを恥じ、目の前にキリストが現れるシーンは、宗教的な美しさをも感じた。

というか、キリストを信仰しておきながらキリストの教えに背いた挙句にその罪を恥じるという流れがイスカリオテのユダのそれ過ぎるよなぁ… スコセッシの「最後の誘惑」でカイテルがユダを演じてるってこともあるし、フェラーラはある程度、ユダを意識してカイテルをキャスティングしているような気もする。

ラストは一瞬のことすぎて何が起きているのかが分からなかったけど、横付けしてきた別の車に乗ってた人に撃ち殺されたってことだったのか。罪の意識から自殺したんかと思ってた。いやぁ、悪は滅びるとはよく言ったもんだけど、あまりにも衝撃的すぎるラストだったなぁ。

カイテルが脱ぐ映画を観る度に思うのだけど、カイテルって謎にマッチョだよな。元々なんかスポーツやってたのかな。この時50歳くらいだから流石に「タクシードライバー」のポン引きの時とかと比べて丸みはあるけど、背中の筋肉が凄すぎる。こういう体型が俺的には理想。

フェラーラの映画は「キング・オブ・ニューヨーク」しか観たことなかったけど、他の作品も気になったから観れるやつは観てみようかな。サブスクに入ってないからTSUTAYAディスカスでレンタルしなくちゃいけないのは少し億劫だが…
りょうすけ

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