浅野公喜

スーパーの女の浅野公喜のレビュー・感想・評価

スーパーの女(1996年製作の映画)
4.0
主婦が幼馴染が経営するスーパーに雇われ立て直しを図るノブコ・ミヤモト主演・伊丹十三監督のコメディドラマ。小学生の頃テレビで断片的に観た時も面白いなと思いましたが、今回フルで観ても感想は一緒でした。

おにぎりの品質向上やカートの確保に始まり、表記違いのチラシへの対応と普段馴染みのあるスーパーの裏側を徹底して描くことでグイグイと劇中の世界に引き込み、偽装や食品衛生を既に取り上げているのもさることながら合理性よりもプライドを重視する男性の面倒くささを煮詰めたような職人が跋扈する各部門にパートの女性達が立ち向かうという爽快感伴うフェミニズム要素も先進的と言えそう。

そして時には泥棒をカートに乗ったりマヨネーズ浴びせて退治したり、終盤にはデコトラでのカーチェイスも用意したりと娯楽面で充実しており、終盤は災難を通じ主人公と幼馴染の専務の距離は縮まり契約も上手くいく、という「災い転じて福となす」展開が見事。

役者というよりタレント起用多めの活気溢れるスーパーの店員達の演技は勿論ノブコ・ミヤモトとマサヒコ・ツガワの夫婦漫才をやっているかのような勢い有る息の合った感じ、状況や心情によって細かく変わるライティング、時にコミカルに時にドラマティックな変幻自在のBGM(スーパーの混雑時とアフリカンなパーカッションがこんなにマッチするとは!)も魅力的でした。
浅野公喜

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