真魚八重子

ブルーイマジンの真魚八重子のレビュー・感想・評価

ブルーイマジン(2024年製作の映画)
4.0
昨年から日本でも噴き出した、監督が立場を利用して女優に性暴力を働く問題を取り上げた映画。もちろんそれだけではなく、人種差別も絡んだセクハラやDV、被害者女性がみずからを責めてしまう過程など、様々な点に目を配っている。
乃愛(のえる)は俳優志望の女性だが、売れっ子の映画監督に性暴力を受けてしまう。彼女は性的被害者の、女性たちのためのシェアハウス「ブルーイマジン」に足を運んだ。そこには類似する経験をした女性たちがいた。
自分のことは客観的に考えられなくても、他の被害者のことは俯瞰的に見られたりするものだ。なので、自分自身を責めている仲間にも「(こういう理由で)あなたは悪くない」と言える関係性が良いと思う。

基本的にブルーイマジンは喫茶店であり、客として来店することができる。でも中にはコーヒーを飲みに来て、店員の女性たちを話し相手にし、彼女らの手を撫ぜるジジイがいる。……本当に絶対いるよね! 性被害に遭った人の店=女性ばかりのはず=女性に囲まれて楽しいから通うという人間の感情が死んでるジジイ。

人間が常に清廉に生きられないということはある。女性のワーキングプアの問題は、根が社会にあっても当人に責任を科せられる傾向がある。
でも女性が結託すれば、相手が有名人であろうと、悪癖を持つ男性をその世界から葬る力もある。映画としては、かなりノイズを省いている印象はあるが、それを構っていては混沌としてしまうだろう。そのため非常に率直な作りなので、誰が観てもわかりやすいと思う。
真魚八重子

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